第1章2節 自分達と同族か?
「アカネ・・相手も用心しているからな、もうお前もこの装具の使い方はマスター出来ただろう?恐らくコモリゴンと同じ速度で飛べる筈だ」
「・・そんな気がして来たよ、お兄い」
アカネはもうターゲットを決めていたようだ。今度は、逆に逃げ回るような攻守逆転の中で、アカネはその一頭の後ろから、凄まじい炎の帯をどんどんと距離を縮めながら、追って行く。シンタの眼が点になった・・。
「・・アカネの方が全然速えじゃん。飛行に関しては、むしろ俺より速いのかもなあ・・じゃあ、俺は逃げて来る奴を待ち伏せしよう」
そう言ってアカネに追われたこちらも一頭に、シンタはまず、シバキモードで体を強烈にソードを振って打ち付けた。バクダンで駆使した技である。これは、かなりのシンタの攻撃力を上げていた。どんな怪物にも恐らく有効だろう。
ぎゃああああっ!断末魔に似た叫び声を上げるコモリゴンだが、再生する怪物に変わりはない。そこへ火花をぶつけると、コモリゴンの表皮にある毛は既に焼き尽くしていた。そうなると、極端に飛翔力が落ちるようだ。シンタは、今度は業火で、コモリゴン一丁丸焼け上がりいっ!と叫んだ。そして、これは美味しいので、一端崖の上の保管庫に入れに戻るわと言う余裕の行動で、シンタが戻って見ると、リンドウも既に参戦していた。アカネも一頭を仕留め、シンタが、
「アカネ!保蔵場所にそいつを持って行け、後は俺がやる・・」
「分かった!このコモリゴンは、バクダンを超える一番の肉になったわね。じゃあっ」
アカネも、その丸焼けの一頭をぶら下げ、崖の上の貯蔵庫に・・ここで彼らは『感車』と共に、空を飛ぶ装具まで手中にした上に、一気に攻撃力を増したのだ。更に、父シンゾウすら出会った事の無い、人種の者に出会ったのである。こんな偶然ってあるのだろうか・・彼らは、何かをやはり祖父シンのように感じる器官と言うのを持っているのだろうか。このずっと敬遠して来た空の王者コモリゴンを、こうして攻略出来る等とは想像もしていなかったのだった。
こうして・・もはや形勢逆転をしたこの闘いは一方的なものとなり、残り5頭を丸焼けにして、リンドウと共に、崖上に戻ったのである。『感車』の中で、果実の場所もリンドウに話すと、
「そうか・・この果実って言うのも、恐らくとっておきの物らしいな、もう流石に満腹だけど、腹の中がすっきりした気がするぜ」




