大転換への兆し
ケンシンAI・・その部分から、ワクイがとうとうシン達の居場所を察知したようだ。また地上から消えてしまったワクイ軍団についても、シンが脅威的なる対象になった事で、自ら攻撃を仕掛けて来ているのだ。地上では、デマルクがかなりの地球上のエリアを席捲しつつ、怪物達は相当数入れ替わり、メバチック、コモリゴンは健在ではあるものの、特級レベルの怪物が地上を闊歩するようになって来たのである。
その怪物達は、デマルクの攻撃は受けなかった。逆にデマルクの超合金で形成されているかのような硬い皮を、ばりばりと食って行くのである。だが、デマルクは後退する事は無い。常に前進する怪物だ。そして一つだけ明らかになった事がある。デマルクの中には、シン達が初めて地上に出て確認した地球の約7割を占める海にどんどんと進出して行く個体が出来た事だ。前進する先には、確かに海がある。それは、必然であるかのように、デマルクはシンゾウが内部爆発させた分裂成長個体+元々の数体に限られていたので、総個体数1000体は切ると思われる。それがどんどんと海に進出して行くのだ。その個体が、海水に浸かると、巨大なサメに近い、或いは個体差もあり、鯨似の怪物に変化して行くのであった。最大全長30メートル程だが、超合金のやはり硬い鱗を持つ姿態になるのだった。
「デマルクはそうか・・最終的に、今までも俺達が見逃していたのかも知れないが、地上の金属類を体に摂り込み、陸から海へと進出・進化する形態進化型の怪物だったのかも知れない。地上は、デマルクのお陰で確かに肥沃な大地に変わりつつ、短期間に怪物の種別もどんどんと変化している。役目としては、ワクイが望む方向だったのだな・・だが、ワクイがそれを目的とした生成怪物では無かろう、自然発生的な環境依存型突然変異種・・これは、やはり最強・最凶の怪物になるのだろうな」
シンゾウが分析した言葉が伝わった。その一方で、同じような金属型生命体とのコンタクトはワカナ、アカネによって成功していた。アマンがずっとその場で観察をしながら、ケンシンが遺していたAIにて、積み上げて来た情報を入力して行く。やはりここでも文化的・科学的な機能が必要なのか?シンが首を傾げるが、アマンは言う。
「シン・・ワクイがAIである以上、根本的には生体機能の我々では思考は出来るけど、瞬間的に分析・判断は難しい。だから、この金属生命体に、今我々が持ち得ている全ての情報を与えなくてはならないのよ。それには、ワカナ、アカネの力が必要なの」




