第1章 進む
「あれ・・別地区に行くなんて事や、ここまで全然降りる事も無理だったのにさあ・・突然白い雲が消えているしよう、俺達が向かっている先は・・この『感車』で言う所のB地区らしいぞ、アカネ」
「ええっ!突然なん?それって、何か不思議だよね、お兄い」
「ああ・・さっぱり分からねえよなあ・・でもさ、何か眠くなって来た」
「あたいも・・お腹が満腹状態でまた食べたからね・・眠いよ」
アカネもシンタもこの戦いで、満腹にもなったし、もう何も考えられず、そのまま『感車』に誘導でもされるように、眠ったままに・・
考える事なんて何も無い。考えたって、どうしようも無い現実があった。二人が穴から出て両親の庇護も無い状態で投げ出され、そして数々の怪物達に食われ、飲み込まれ、その度に復活しては相手を倒して来た。そうする事が義務のように、必然だからだ。動けば腹が減るし、喉も乾く。自分達でその食料も調達せねばならない以上、どんな異生
彼等は、両親を探す目的の為には、今居る地区から26地区も分断されている場所に行かねばならないのだ。このままこんな場所である意味不毛な闘いを繰り広げる事は無意味であるし、二人にとっては食する事と闘う事は別問題であって、向かって来るから仕方無く応戦しているだけなのだ。尤も、バクダンを倒さねばならないと思ったのは、何か自分の心の内から湧き上がるような観念的なものなのかも知れないが、初めてそう言う感覚が起きた事も注視しなければならないのかも・・
とにかく、二人の存在とこの奇妙な世界感は、この先どんな展開が待ち受けているのであろうか・・




