第1章 進む
余りの高速なその触手の動きに、シンタは空中に飛び上がる際に足をつかまれたが、そこは兄妹だ。アカネが、
「お兄い!危ないっ!」
そのサーベルをやはり刀のように使い、切り離すとシンタは、今までの限界を遥かに超えて高く空中に飛び上がったのだ。
「おうっ!今までの俺の記録を破ったぜ。倍以上は高く飛べたぜ」
「何の記録っ!うわああ・・あたいの方に今度は、バクダンが超きもい手を伸ばして来た、えいっ!」
アカネは元々動きが速いが、それは、今まで自分がやはり経験した事の無い動きでその触手を問題にしなかった。
「あれ・・あたいも移動速度が速くなった見たいだよん。これは、自己記録更新だね、うん」
「おいおい・・お前も真似っちだな・・でも、良し良し・・俺は、前回のようにこいつに捕まるような事は無さそうだし、アカネもそうみたいだな。お前の走る速さは、今までの倍速だ。その速さを超える怪物には、今までには出くわしていないぞ。さあて・・どう料理するかだな。俺がソードで叩いて見るとするか」
シンタはソードでバシン、バシンとそのバクダンの体を、連打して叩くのだった。これは再生する事は無い。だって本体はそのままなのだから・・アカネは、じっとそれを見ていた。
「ん?こいつ、お兄い、何か美味そうだよ。いい匂いがして来た」
「お・・そうか、俺も何か匂って来たよ。こいつは、姿はぶさいくで凶悪そうだけど、美味しいのかも。じゃあ、俺達が闘う意味があるよな?」
「うん!めっちゃあるよ、お兄い・・あたい考えていたんだけど、その今のシバキって言うの、その攻撃を続けていてね、こいつは触手以外にそんなに動きは早く無さそうだよね。食われても、死なないのなら、やって見るよ、ミミッチのように、バーナーモードでさ」
「お・・その手があったか・・アカネ、頼むぞ」
「ぐ・ぐおおおおお」
バクダンは、叫び声をあげる。余りにもシンタのシバキモードが強烈で、それもそこで動きを止められたからだ。体が何か分らないが、赤黒く染まって行く。




