空から・・
ワクイは、一端兵団を引き揚げる指示を出した。しかし、ランガーは引かなかった。ワクイの指示を無視したのである。これも、ワクイにとれば、予想を超えていた。何の為の傭兵なのか、自分に従わぬ者が出ようとは・・
だが、ここでもワクイはランガーに何もしなかった。いや、出来なかったと見るべきなのか?彼の理論を借りれば、弱者は消え行く運命にあり、強者が最後に地球上に残る。それが強者適存の法則だと思っているのだ。自分はデマルクにより、地球大改造を行った後、そこに君臨する者である事。故に、今自分が所詮駒に過ぎない彼らを手助けする事もしないし、怪物達やシン軍団に直接手出しをするものでは無いと言う事だろうから。ただ、シン軍団には謎が多かった。ワクイはその実態を掴めずに居る。それこそ、軍師を何人も抱えるシン軍団は、神出鬼没の作戦をとり、ワクイが進入出来ない地下基盤を持っているからだ。ワクイ軍団にはその基地が無い。常に荒野で怪物達に狙われているからだ。周囲皆敵であり、その怪物達はどんどん弱者の怪物達を食い、どんどんレベルアップしている現状なのだ。
「ふ・・指示に従わぬか・・それも良しだ。ランガーの代わりなど幾らでも創出が出来る。肉弾戦においては、もはや怪物達に食われるしかないのだからね。ただ、ランガー君が完全に怪物共に食われたのは見た事も無いが・・」
確かにランガーも怪物達に食われた事が無いようだ。なので、彼も検証は出来ていなかったである。
こう言う所もクールと言うべきか、ワクイ軍団の一時は大将として活躍していたのに、あっさり大将をキングにするなど、冷徹であり、もともとランガーの信頼等皆無であったのだから。
「キングは引いたようだが、ランガーが懲りもせず、鉄砲と言うらしいな、撃ちまくっているぞ・・」
リンドウは上空からランガーの様子を見た。怪物共には殆どその鉄砲などは通用しないのだ。メバチックもこの頃になると、ランガー軍等は相手にすらしなくなっていた。射程距離と言うものがある。その距離をとると、遥かに素早い動きでランガー軍等の走力程度では追いつけないのだ。ランガーは、攻撃すると言うより、次々と襲って来る新手の怪物達に防戦しているような状態なのだ。しかし、それでもそのDNAは引く事を知らないようだ。プライドと言うものがもし残っているのなら、多分そう言う事になるのだろう。




