第三幕 その1 反撃する!
「じゃあ、人の姿じゃないって事っすか?」
「飛機そのものが巨大AIだとしたら、どうなる?でも、機械だから修復はしなきゃならない。自動再生なんて出来ないんだからな。その為にデマルクが偶然にしろ生まれた怪物ならば、その金属試料を利用するのさ。文明を破壊しようとした者が、文明を新に創出する?何と皮肉なものだろうか・・が、しかし、彼は全てが自分の思うがままになり、手足にならなければならないんだよ。俺達は再生された怪物を逆に使役したり、地球で生まれた生体をも動かして、それを阻止する。そこしか活路は無いと思うんだよ、地球を取り戻す為にはな」
シンの言葉は重かった。こんな現世・・倒しても倒してもその相手は再生する。自分達もそうではあるが、怪物達は共食いをし、その倒した怪物を吸収し、より強い個体に生まれ変わる。つまり、誰も手を加えずとも自分で完結する、セルフサービス型進化のようなものなのだ。それを邪魔する者は、食ってやるぞと言う事だ。弱肉強食・・食制ピラミッドが出来る事になる。
「俺達には、ワクイ軍団を食うと言う事が究極の選択になるのかもなあ・・」
シンゾウがぽつんと言うと、その言葉にシンとアマンは、少し怒った。
「シンゾウ!我々人型には尊厳と言うものがある。そこだけは避けたいから、こうした戦法を選んでいる」
「そうよ、シンゾウ。軍団トップの貴方がそんな発言をするのは慎みなさい。何の為に争いを我々は回避して来たの?ふう・・良いわ。再生される天才達が、どんな役目を担うかは分からないけど、それまではこちら側は色んな戦法を取る。ただし、爆弾、銃器を使用したら、戦争の形態等はがらっと変わって来るのよ。もうそこまでの状態は近いかも知れない。その事は肝に銘じておいてね」
「はい・・」
シンゾウも分かっていた。緊張を保つ為に意図して吐いた言葉であった。
シンからは、どんな参謀達が再生されるのかは、その予想を聞いていたシンゾウだった。地球自身が恐らく生み出したであろう大天才達が、再生されるだろうと言う事だ。
ワクイが、この同じ時に天空から呟いている。




