第三幕 広陵の大地にて
「良く分かったよ、母さんの肉声を聞くまで、頭の中では全く不理解の事ばかりだった。しかし、今の説明で、何故俺が生まれ、そして既に相当老齢となっていた父さんの指示の下で、俺が動いて来たのかも分かった。デマルクには飲み込まれたけどね、ふふ」
シンは笑う。
「それこそ、ワクイの慢心なのさ。正に愚策だと断言しても良い。確かにデマルクは、地球再生へのうってつけである生物だと言えなくも無いだろう。しかし、根本が違うんだよ。地球の歴史の中、地球の環境、自然の中、また適者適存の法則の中、命脈を繋いで来た種こそ、地球が生み出し、育んで来た者達なんだよ。そこへ火星やら、怖気が走る、がミイラとなった者のDNAすらも利用し、再生させようとするなどもっての他な行為だよ。地球を再生?無限の怪物達を生み出し、今はその複製細胞人型を創出し、我々を阻害しようとしている。正に人類の忌まわしい過去を糾弾し卑下した者が、その骨張となっている愚をな、そこに何があると思う?弱肉強食こそが本来の動物の姿であるのか?だったら、知能なんてものは必要ないだろう?。何故地球は、その頭脳を持つ人類を生み出したんだ?滅びの笛を自ら吹くためなのか?確かに愚かな人間は、自ら恐ろしい兵器を製造した。自滅の寸前だったが、地球大事変が起こった。それこそ、地球自らの浄化作用だと思うんだよ。そこは違うぞと俺は断言するのさ」
「そうだよ、父さん、母さん。この軍団が何故地底湖で誕生したか、全て母星の意志だと思う。ここまで大変だったけどさ。でもアカネ軍師が活躍している。頼もしくなったよ」
シンゾウが眼を細めた。
「ああ、でも敵の将がやっかいだなあ、ランガーはランの再生体だが、全く旧世界の者とは違う。しかし、身体能力がずば抜けている。そこへ怪物達も現れ、今や三つ巴の争いになっている」
シンが憂い顔。シンゾウは答える。




