第三幕 広陵の大地にて
シン率いる軍団が、激しく戦っていた。相手は、ワクイ再生人型兵士達である。何故こうなったのか・・シンの再生を知ったワクイが、完全なる敵意を見せたからである。あろう事か自分の娘ワカナを、その天秤にさえかけようとする卑劣極まり無いやり方に、シンタを中心とするシンタ隊、リンドウ率いるリンドウ隊、そしてケンゾウ隊がその再生人型軍団と刃を交わしているのである。
つまり、こうなる経緯には、勿論理由と必然なる流れがある。
シンと言うより、ワクイが脅威に感じたのはアマンだったと思える節がある。何故なら、ワクイはアマンの研究のかなりの部分を盗んでいたからだ。尤もアマンは最重要な部分の研究は、死ぬ間際までシンに託していたのだ。それこそ、この復活の序章として、またシンゾウを通常10月10日で誕生する筈である人受胎卵を凍結の形で保存し、地球最後とも言える大きな地殻変動の中で保護しようとした事である。故にシンゾウは、実にスローペースでそれもアマンが開発した不老不死なる措置によって、実は470年と言う月日を経て誕生したのである。しかも、シン達が成熟した大人として誕生したのに対し、シンゾウはやっとシンタと同程度の年齢として生まれたのであった。
その違いこそが、秘匿していたサークル上空間にある。そして、必要必須成分とする6種或いは7種の生物のDNAが必要であったのだ。そして、それが成された時、シンとアマンは数百年を経ずともここに誕生したのだ。何故に?ワクイは、初めて自分をも上回るかも知れないアマンの才能に、驚愕したのである。それは、自分こそ、人類最高の天才博士だと自負する研究を、更に超えるものだったからだ。アマンの、ここまでの声がまだ聞こえては居なかった。そしてワクイ自身の姿もである。しかし、ここに来てアマンはこうシンに伝えた。シンゾウもそこに居る。三者のトップに位置するこの軍団の頭脳である。
「ワクイの正体はもう掴んでいる。相変わらず再生体に乗り換え、その脳内には活性細胞を注入して傍目には不老不死を演出しているわ」
シンゾウが、
「母さん、それは完全なる不老不死では無いって事かい?」
「ええ、そうよ。不老不死なる壮大な実験場こそは『龍の巣』であったのよ。でも、その時にはワクイはシンによって除外されていた。その情報を得る事は出来なかった。それこそ、私より更に前の世代から延々と続けられていた独自の研究施設であり、そのサークルこそ『命の素』だったのよ。私は、その為に体は没しても、次なる復活を未完の再生細胞を使い施行した。シンも同様にね。でもそれは、祖先達が、命脈が尽きてもなお『命の水』『命の素』の原理を突止めていた。それこそは、地球再生の本当に最後の道だったのよ。ワクイの求める地球再生とは、根本的に違うものなのよ」




