第二部 復活への道
こうする中で、シンゾウは、
「今は経緯を待つ事にする・・お前達は、ここでここの水を飲み、そしてミネラル鉱結晶砂を食え。きっとお前達の体が頑丈になると思うんだよ。その体が出来てから、俺達は改めて今後を決めるとする。もうコンプリートが出来た今、俺達は妻ワカナを救出する事に全力を挙げているが、それは今すぐでは無くなった。心配するな、ワカナは必ず、シンタ、アカネの元に戻らせる。だがな、これも覚悟しておけ。その時はワクイとの全面戦争になるぞ。戦争の愚をワクイも父シンも常に言っていたが、戦いの中にしか生きられず、それを父シンは回避できなかったと言っていた。オオコウモリとの闘い、大蛇との闘い、大スズメ蜂、蝙蝠軍、そしてワクイとの情報戦も含めてだ。詭弁では無く、俺達が進む為には無用とは言ったが、目くらましなど通用しない怪物も居る。地球に必要なのかどうかも分からないが、永遠にデマルクが活動して見ろ、俺達に居場所があると思うか?」
「無い・・無いよね、パパッチ」「うん」
子供達は頷くのであった。
「無駄な戦いは回避したいさ。しかし、そのワクイの創出したこの怪物群、植物群は、もはや俺達の限られた者だけでは手に負えない。無限増殖すらする怪物を相手にはな、ワクイはきっとどこかでそれらを排除し、自分にとって有益なものだけを残す手段を持っているのだと思う。俺達はそれより先にその目論見を潰し、本来地球に居るべき種を戻す役目を与えられているのだと思うんだ、どうだ?」
「はいっつ!まさしくそう思うよっ!」
シンゾウは、自分からこうしろ、ああしろとは言わなかった。その為自分から率先し、体を動かし、或いは個人に役目を担わす。現場を体験させる事によって、時には連係プレーが必要だと言う認識を植え付けて来たのだ。これがシンに流れる遺伝子の命脈だと言えよう
こうして、ここでまた数か月が過ぎた。特に変化は無かったし、シンゾウ達もただじっとしていた訳では無かった。大小の晶洞、洞窟をどんどんと開拓し、ゼニゴケも新たに発見した。更に原種と思われる、カマドウマも見つかった。それはゼニゴケを食していたらしく30センチもある大型昆虫だったが、食するに値せず・・シンタの見解だった。何が何でも食すると言うのは違うとシンゾウも同感していた。




