第二部 復活への道
「では言うっす。『命の水』はその名の通り、生命を育むが、『命の素』と言うのは、命を生み出すと言う解釈で良いんすか?」
「おっと・・リンドウ、お前は・・ああ、そうかリンと言うのは植物の学者だったそうだから、その指摘は、うん。合っている気がするよ。元学者ではない俺の父シンも、その事には言及していなかったが・・」
「じゃあ、もう少し自解釈を言うと『命の水』では主要元素的な栄養素がある。しかし、それらを吸収するには、この水自体の成分的比率が低いと考えても良いっすか?」
「うん・・成程。では俺が逆に聞きたい。何故父シンが、通路奥のサークルを発見し、見守って来たかは、そこに繋がると言うんだな?俺自身が分からなかった事のヒントがお前にはあると?」
「いや!もっと単純な考えっす。つまり、全てコンプリートした液体をサークルの湖に加えた。そこから泡が発生し、溢れ出した水はどんどんでは無いけど、一定の量で、この地下湖に流れ込んでいる。しかも、この一角にあるミネラル鉱結晶の浜のみに。つまり、ここにシンゾウさんの父母の卵が浮遊しているって事っすよね?違いますか?」
「むう・・リンドウ、もうそれは推論では無いぞ?お前・・」
シンゾウの眼がぱちくりとしている。驚いているのだ。今まで黙っていたリンドウが、こうも理論的な言葉を発する事に。
「もう続けて言うっす。何か、もやもやしていたんで、黙っていたんすが、それまで自問自答していたんで、言葉に出来なかったんす」
「言え、言え、リンドウ。お前は、すげえ頭の良い奴だったんだなあ」
シンタとケンゾウも同時に言った。アカネも何か言いたそうだったが、そこは黙っている。
「二つの湖は違うと思ったんす。この地下湖は、それこそ地球の太古からある湖であって、深海まで繋がっている。そして、水深恐らく500M位・・あ、これは俺がシンゾウさんから聞いていた深さの体感からっすけど。その下は、薄い海水と淡水の境だと思うんす。これは、俺の記憶の一端がそう言っているような気がしたから。その満ち引きと言うのがこの地下湖にはあって、何か、泡が底の方から上がって来るのが見えたんで、ひょっとしたら、この泡の一つ一つが、ミネラル鉱結晶砂になるんでは?と」
「ほう・・その原理は実は母アマンが研究の一つとして遺している。リンと言うお前の源主が知っていても不思議じゃないなあ」




