第二部 復活への道
シンゾウも少し驚いた様子だった。何が起きているのか・・彼らに分かる術はこの時には無かった。ただ、シンゾウは動いたかと言った。それもこんなに早くと・・つまり、そこまでは予想の範囲であったと見える。
水は、8キロ程あった通路から、少しずつ地底湖に流れ込んで来た。ちょろちょろと言った表現の方が正しいのかも知れない。
「ふうん・・あっちの湖は少し低い場所にあったけど、泡が発生して水位が上がったんだね・・こっち側にしか水路は無いから・・え?じゃあ、歩いてきた所って、水路としてこの道は造っていたと言うの?」
アカネの分析力は、正直凄いなとシンゾウは思った。これは、隔世遺伝かも知れない、母アマンの学者の血か・・と。
「そのアカネの見解が正しいような気がするよ」
シンゾウも納得顔になった。
「とにかくだ。俺は自身だけでは無理かなと思った時、シンタを連れ出し始めて父シンから受け継がれる優良遺伝子の血脈として、この地球上にまだ存在するべき旧生物の痕跡を探っていたんだ。それがデマルクまでの痕跡さ」
「これまでの話で、俺も納得したよ。つまり、ここから先は未知数の事なんだよね?俺達にはもう何も出来ないし、経緯を見守るだけだと」
「ああ・・そうだ」
一同は地底湖を見つめた。心なしか、地底湖に変化があるように思った。言い忘れていたが、地鰻はこの中の必須要件であったものの、シンゾウは言わなかった。そこだけが、リンドウには少し謎であったが、黙っていた。ところが、シンタがそれを聞く。
「ねえ、パパッチ。さっきのサークル?球状の場所でさ、何で地鰻のエキス・・?は、混ぜ無かったのかい?必須栄養素なんだろ?」
「ふふ、それは俺達にとっての食の要素であって、そこには必ずしも必要とは聞いて居なかったんだがなあ・・でも、それもここで入れて見ようか。確かにシンタの疑問で俺も何か、ピンと来た」
「あ!なら、俺も思っていたんだけど、先に聞けば良かったなあ」




