第二部 復活への道
シンタが嘆息すると、
「ふ・・それが、一番の今回の偶然と言うか必然の出来事だったんだろう。つまりな、このコンプリートが重要なものだったんだよ。さあ・・俺が単に食事をしていたのでは無い事を今から示す。ここの湖も『命の水』そして『命の素』なんだ。これは、俺はお前達が食っている最中に、絞った水と地底湖で集めたものだ。今からこの湖に入れるぞ。どうなるのか良く見ておけ」
そう言うとシンゾウは、どぼどぼと、その湖の中にその袋の中身を放り込むのだった。黙って4人はその様子を見ている。
何も変化はない。1時間、2時間が経ったのかも知れない。が・・微妙に水面が変化し始め、全く動きの無かった湖面が泡立ち始めたのである。ぼこぼこぼこ・・大きな泡が出始めた。シンゾウの眼が輝き、少し興奮した様子で、
「良しっ!母アマンが200年前に遺してくれた研究結果が、もしそうならば、『命の素』は、動き始めた。地底湖にも恐らく動きが伝わっている筈だ。こっちへ来てくれ」
シンゾウは、子供達を手招きし、又通路を戻って行く。そして、地底湖からの扉は開けられたままだった。
ここで、ミネラル鉱砂場に一同が集まると、シンゾウは言う。
「ここでの動きが、俺達の今後を左右するだろう、恐らく俺達は確かにワクイの監視下にあっただろうが、地球が遺してくれたものは、人類の再生なんだ。それがこの中にある。いや、あったと言う事だ。それは、偶然俺達を介してここにやっとコンプリートが出来たんだよ。それが父シンからの俺への、使命だったんだ」
「そうなん?パパッチが、そう言う重要な任務を受けていたと言うんだね?」
やっと子供達が、この奇妙なシンゾウの連続行動を理解した。リンドウもケンゾウもそうだ。
「俺自身は、到底そんな事なんて出来ないと思っていたさ、今でもそうだ。父シンが遺した言葉は、どれも不可能に思えた。だが、俺が初めて外の世界に出て、体も十分では無かったが、手足のように動く感車が、父シンの為に開発されたものである事を知った。その時点では、ワクイが俺達の存在にも気づいては居なかったようだが、ワカナと俺が出会ってからその存在が知られるようになった」




