第1章6節 そして動き始める
「合わせてその10種が有効食だと今では思っている訳だ。さて・・ここからやっと俺の計画を説明する。この地下湖の事は言ったよな?『命の水』だと」
「うん・・」
頷く彼らだった。
「母アマンは、この地で人類を再生しようとしていたんだよ」
「え・・再生?ワクイのように?」
シンゾウは首を振る。
「いや、全くその根幹が違うんだよ。確かに不老不死と言う到達点は同じ。しかし、他の生命体との共存を考えていた。ワクイは強者適存の法則をずっと貫いている。その世界が彼の言う、俗悪と言う人類の存在と何ら変わる事は無いと言うスタンスだと母アマンは指摘している。共存とは、共に生きると言う事だ。食う為に食する・・しかし、食うと言う食欲以外の五感と言うものは、貴重な本来の動物が持つ感覚なんだよ。痛い、寒い、熱い、美味しい、煩い、無数に感覚による表現はあるだろう。無感で生きる動物が居たとしたら、そこは荒涼とした何も無い世界であって、そこから向上なんてある訳が無いだろう?俺はそう思っている」
「うーーーん」
シンタ達は考えた。
「美味しいと思った時点で、アカネ、何か幸せな気分になるだろう?」
「うん!そう感じる・・あ・・そう言う事をパパッチは言っているんだね?」
「そうだ。それが生きていると言う実感なんだよ。それを言いたかった訳だ」
「それなら、理解出来るっす」
「ふふ・・俺は学者じゃない、饒舌でも無いからな、そんなものなど無用と言うワクイが生み出したのは、ママリンなのさ」
「え!・・・」
いきなりシンゾウが自分の妻をそう形容すると、当然驚く二人に、
「いや、だからな、究極の完璧な存在等無いんだよ。ワクイの欠落している感覚の中には、感情と言うものがある。しかし、これを完全に排除する事なんて出来ない。ママリンにそれが無かったと思うか?二人共」
「ない・・ママリンは優しく、何時も大切にしてくれた」
「だろう?それを言うんだよ。根本がここで違うと言う意味でこう言う話になった」
シンゾウの話は、少しずつ本題に彼らを納得させながら導いているようだ。




