第1章6節 そして動き始める
「どんな物を食しているのかは知らないが、それも当然だろうね。Ⅰ型人型生命体は、食を特に多く摂らねばならないようだからね、ワカナ」
ワクイはワカナの反応を見る為か、そう呟いた。ワカナは、この言葉には答えた。
「成長期と言うのがあるから、彼らはまだ子供の体。多く摂取する必要があるのだわ、きっとね」
「成程、やっかいだね。非効率だよ、その行為は、そら・・もう怪物達が押し寄せて来ているじゃないか」
ワクイの言葉と同時に、複数のYゾーンに居る怪物達が襲って来る。
しかし、今度は、シンゾウ達は逃げなかった。ケンゾウがすっくと立ちあがると、
急ブレーキをかける怪物達だった。
「おや?俺も初見参の怪物達だが、どう見てもランク6強はありそうだが、ケンゾウを見て尻込みをしている。ふ・・匂いか?この怪物達は匂いに敏感なのかな?」
シンゾウが、今度は大きな声でそう言うと、
「何・・匂いか?何を食したかによるが・・むむ」
ワクイが考えていた。ワカナは、また内心でほくそ笑むのだった。匂いの訳が無い・と。子供達は、瞬時に全アイテムを体に摂り入れた事によって、恐らくランク6は突破したのであろうとシンゾウは思った。ちなみにワカナが怪物達のランク付けを知る事は無い。それはワクイもそうである。シンゾウが自分の体験によりランクを設定したものであって、必ずしも先にシンゾウが言ったように、強さのレベルには当て嵌まらないのだ。かと言えども、この怪物達を尻込みさせる程ケンゾウのレベルが格段に上がっているのは確かだった。
「かなりの怪物達のようであるが、まさか、犬型が人型を食い、その犬型が人型になるとは思いもよらなかった事だ。突発性遺伝子とはかくも変異に許容なのか・・もう少し注視する必要があるな」
ワクイの独り言である。ワカナがいちいち反応する事も無い。




