第1章6節 そして動き始める
「地飛蝗が、何を食っていたかは分からないが、恐らく他のゾーンまで移動しているのだろう。つまり、デマルクが土壌改良した花畑なのかも知れない」
「え!じゃあ、デマルクってパパッチが・・」
シンタが驚いたように言うと、
「いやいや、デマルクが一体だけとは限らないよ。複数の場所に居る可能性の方がむしろ高いし、今俺が破壊した事になっている無数の再生体が蠢き始めている事だろう。それが結果的にこの環境を破壊するのか、改善するのかは分からないが、とにかく実際は俺がやったようになっていると思うが、実の所を再度言うが、自己型破壊で分裂したんだよな、このデマルクは。俺がワクイに反撃したように受け取られているだろうな、この事については。だが、俺もワアクイの罠に嵌められたと思っているから、ここは引き分けだよな。はは」
「でも、ワクイはパパッチがデマルクの消化液によって、どろどろになり再生されないと思っていたんじゃないのかい?」
シンタが言うと、
「そう思っただろうなあ・・確かに。俺も、やっぱりやっかいな怪物だと思ったよ。特急クラスになると、自分自身の対応力がどこまで通用するかは分からないからなあ」
そう言うシンゾウの返答は、余裕を感じるなと思うシンタだった。
「でもさ、この地飛蝗が、デマルクの花畑を食糧源としていたのなら、俺達は食えないんじゃ?」
リンドウが言う。大きくシンゾウは頷きながら、
「尤もな指摘だ。だが、リンドウ、この地飛蝗は地ハチを食うんだよ」
「ええっ!地ハチって凶暴な奴じゃないの?パパッチ」
アカネが今度は突っ込んだ。
「ああ、凶暴だ。大きさもほぼ変わらない。毒針も持っているからな、これに刺されると、猛烈に痛いぞ」
「じゃあ、パパッチは刺されているんだ」
アカネの眼が点になった。




