第1章6節 そして動き始める
「ふうっ・・まさか空に居ると予想外だよ」
シンゾウが肝を冷やした顔だった。
「今の・・何?」
「今のが、地ハチだ・・凄い大群だったな、灌木から離れた所で襲って来なくなったから、多分灌木が住処なのかも知れない。俺の認識不足だったよ」
「パパッチでもそうなんだから、仕方がない事さ。でも、探していたもう一種なんだろ?どうするん?」
「待て・・すぐには思いつかない、流石に、それは。ただ、十数体は地面に落ちているから、隙を見て回収して来るよ」
「いや、俺が回収して来るっす」
言ったのケンゾウだった。
「え・・でも、危険だからさ」
シンタが言うが、
「済みませんが、ケンゾウさん。地ハチと地飛蝗のデータってあるんすか?」
「え・・ああ、あると思う、感車に・・」
シンゾウも少し冷静になったようだ。流石のシンゾウがこうなのだ。まだ息が荒らかった。むしろ、自信満々のリーダーこそ、危うい面があると思う。シンゾウも自分達と同じ緊張感を持っているのだと思えば、逆に親しみやすくなるし、信頼感も生まれるのだ。シンゾウは真っ先に立ち、また自分を最後において、彼らを救ってくれたのだ。リーダーとはこうあるべきだとケンゾウもリンドウも思った。
シンゾウは感車のデータを示した。ケンゾウは即、
「これ、地飛蝗じゃないっすかね。地ハチには見えなかったっすよ。ハチって毒針があるんすよね?噛む力はそう強くないっすよね?」
「あ・・いや、地ハチの噛む力も相当あると思うが、それに黒赤の斑模様だっただろう?」




