第1章6節 そして動き始める
「ん・・ここには緑があるな・・良し、感車から降りて見よう。感車はこれまでのように、Aゾーンに戻らせる」
「・・・」
彼らには言葉は無かった。シンゾウの意図とする事や、全く行動が読めないからだ。しかし従うと決めてあるので、異存が勿論あろう筈も無かったが・・。
「ここは俺が先頭に行こう。右はシンタ、左はリンドウだ。アカネは俺の後ろ、ケンゾウは最後尾だ。良いな」
「はい」
緑の灌木は、空から見たよりもずっと高かった。一枚の葉が大きく、灌木の幹の太さは約1M内外で、大木では無いが、そこそこの大きさであった。むしろ、Bゾーンに一部、Aゾーンの境界付近にやはり一部、Cゾーンには林そのものが無かった。Hゾーンは怪しげな食虫植物が色とりどりにあったものの、それは樹木では無い。シンゾウが言う草と動物の中間のようなものであった。シンタ達にはその違いが明確には分からない。それも当然であろう。
とりあえずは、食虫植物のように襲って来る事は無さそうだ。
「ふむう・・この木を見るのは初めてだな、記録をしておこうか・・」
その瞬間の事だった、上空から真っ黒なものが落ちて来るのが見えた。
「しまったあ!ケンゾウっ!鞭を上に回し、扇風機のように回転させろ」
「せ・せんぷうき?」
「ええいっつ!分からないか・・くるくる回すんだよっ!俺の真似をしろっつ!」
シンゾウが自分の頭の上でぐるぐると腕を回す。ケンシンはその動作を真似た途端に、バチーーン・・30センチ位の赤い縞模様の物体?動物?がその鞭にあたった。
「シンタ、お前もソードを回せ!同じようにだ。そして、すぐ後ろを向いて走れ!感車がそこに来ているから」
冷静なシンゾウが、とても慌てているのだ。ケンゾウは、もうビュンビュンと鞭を回している。そのお陰で真っ直下に落ちて来る黒いものは彼ら5人の体に命中する事は無かった。かろうじてと言う形で、シンゾウが一番最後に感車に乗り込んだ。




