第1章6節 そして動き始める
そこで、また数週間を過ごした。大量に摂取した地蛇が体内で消化され、血肉となるには時間が必要だった。そして、また地下に潜ったのである。『生命の水』『ゼニゴケ』『ミネラル砂』等を再摂取すると、途端にまた体が軽くなった。体内で完全消化されたと言う事だ。そこで、シンゾウは今回の経緯を説明した。
「と・・言う訳でな、思いのほか、リンドウの爆吹き矢の威力があった事と、その音が周囲の地生物を刺激した。ケンゾウは、鞭の捌きがとても良かった事と、シンタの舌切りも良かった。俺の目つぶし等は、もはや必要も無いタイミングだった事と、驚いたのはアカネだ。そのサーベルの炎は格別の威力だな。お前は、ガラークを大量に食っただろう?」
「え・・うん、大量と言うか、あたいにしたら、満腹では無いけど、ふふ」
「はは・・大食漢だと言う事は分かった。それだけアカネの胃袋は強いし、恐らくお前の再生スピードは比肩する者も居ないんだろうな、超抜だ。そのパワーある炎が功を奏した。全員の連携がこんなに機能するとは思っても無かったんだよ。予定は変更になった。それを余りある地蛇の捕殺と言う、思っても見なかったアイテムを得て、短時間で済むようなミッションで無かった筈だが、僅かの時間で回収すらも出来た。今度は、Hゾーンに行こうと思う。そこでは、異様な食中植物が蔓延っている。植物だと侮るな、その辺の怪物すら食らう凶暴なものだ。レベル6に相当するだろう」
「そこを進むんすか?」
リンドウが聞く。シンゾウは首を横に振る。
「いや、ここではアカネ、お前が主導権を取れ、この植物を丸焼きにするんだ。そして、リンドウ、爆吹き矢を可能な限り吹きまくれ。短時間で今度は感車移動する。再びYゾーンにな」
「ええっ!また行くの?」
「ふふふ・・そうだが、異存があるのか?」
シンゾウがにやりとする。シンタは、これは雄大な作戦だと思った。Yゾーンが未解明であるのに、何故途中で引き返したか。そこに意味があるように思ったからだ。




