第1章6節 そして動き始める
まるで既に戦った事があるようなシンゾウの指示に、皆は口をあんぐりさせるが、もはや、この迂回路を進む事に決定したのだ。嫌が応うでも従うしか無かった。
ぶん、ひゅーーーん・・ケンゾウが鞭を振るうと・・すぐ・・ごごごと言う地鳴りがした。
「ひ・・とんでもない大きさじゃないんかーい!」
シンタが首をすっ込めた。シンゾウは、
「推定だが、俺の身長の30倍位はあるだろう」
「小山の高さと一緒じゃん」
シンタの眼が点になった。
その独り言と同時に、ずずーーーん・・巨大この上無い地蛇が、青黒い模様を散りばめて、胴回りなんて数メートルはあるだろう、その巨体に鎌首を擡げて現れたのである。
「ひ、ひぃっつ!」
ケンゾウは初めて恐怖を自身に感じていた。しかし、シンゾウは、
「ケンゾウ、横に飛べ、胴体に鞭を浴びせろ!リンドウ!今だ!」
「お、おうっつ!」
吹き矢と言っても、それは直径3センチ、長さ2Mもあるもので、筒の先端には矢じりが既にセットされている。リンドウは、中に仕込まれている火薬のような丸く黒い球を思いっきり吹く事で、筒の中で発火し、銃のようにその矢尻が飛び出す仕組みだった。それを2本用意していて、びゅっつ!吹いた瞬間にものの0.数秒にて2本目も吹いた。どかーーーーーーん!それは、まさに爆薬と同じであり、矢尻にも何か仕込んでいた事が分かる。地蛇は、悶絶し始める。正確に鼻に命中したのである。
「良しっつ!」
シンゾウは、その命中と同時に、眼に向けてやはり黒いガン玉をぶつけていた。どかん!とやはり両眼に命中した。




