第1章6節 そして動き始める
「良し、一端ここで休憩をしよう。先は長い。慌てる事はないからな」
緊張から解かれて、シンタ達はほっとするのだった。今まで出会った事のない強敵だと思った。戦わずに済めば、それはそれで良いと思った。
「凄いやつだったなあ・・」
リンドウが言うと、シンタ達もうんうんと頷いた。
シンゾウが、
「ああ言う奴がごろごろ居たら、大変だけどな。出来るならば、こちらから攻撃を回避し、恐らく俺達が勝つだろうが、切り刻んで個体数を増やしたく無いのさ。戦いなんて言うのは、本来は不毛な行為さ。父シンは、言っていた。出来るだけ戦いを避ける事を選択したと。自分の活動人生は、常に探索のものであったと言う事だ。食う為に怪物達は戦う。俺達はどうだ?必ずしも食う為では無いだろう?襲って来るから必然的に戦う。お前達も今までそうだっただろう?」
「うん・・」
「食った事は無いが、こう言うワクイが創出した怪物達を食するのは、害悪でしか有り得ない。つまりさ、Ⅱ型生体にはこう言う怪物、植物しか食する事は出来ないんだよ。A~Cゾーンにしか、ミミッチ、擬ガジュマルの実、ガラーク、強いて言えばコモリゴンもセーフだがな、ふふ。それ以外は駄目だ。お前達を浄化させる為にかなりの時間、湖で遊ばせた。もう俺が言う意味は理解したとは思うが」
「うん」
素直にシンタ達は頷いた。
「これから先にも、まだこのクラスの怪物は居る。全てこのゾーンは地中に棲む怪物ばかりだ」
「それは、何故?」
「適者適存の法則と言う。要するに、強い者が弱い者を食い、必然的にこの地に残ったのは、この地に合った怪物達だと言う事だ。植物もそう言う点では同じなんだよ。例えばこの地で残っている植物は、食う者を殺す程の猛毒があると思う方が良い。食っても生き残れる怪物は、それを中和、無毒化出来ると言う事だ。つまりさ、そんなデータを集める為に俺は出かけていたし、シンタには外の世界をそろそろ経験させようと思っていた矢先だったのさ」




