第1章6節 そして動き始める
シンゾウは、きっとアカネにある特殊ソナーが、これをキャッチ出来るのではないかと考えていた。ここにシンゾウが言う二つ目の目的があるのだろう。この不可思議な世界。ワクイもその手を全く見せていないが、シンゾウを中心とする動きは重要なこれからのポイントになりそうだ。シンタ達は日毎に、潜る深度を伸ばしていた。
「ぷはあっつ!」
シンタ達が湖面に上がって来た時には、シンゾウ、アカネが砂を口に入れていた。毎日欠かさず摂れとシンゾウは言っていた。シンゾウ、アカネもそれを大量に摂っていたのだ。勿論、湖の水もだ。シンゾウとアカネの摂取量はシンタ達の倍以上はあった。
「親娘だなあ、半端ねえよ。飲む量と食う量が」
シンタが言うと、リンドウとケンゾウも同感だと言う。
ケンゾウは、
「どうだ?かなり潜れるようになったか?」
「うん、俺達が以前過ごしていた時に、アカネと競争していた深さの5倍以上は潜れるようになった。リンドウもケンゾウも同じ位だ」
「そうか・・お前達は湖ウナギを見つけろ。そのまま湖面まで誘導するんだ。後は俺に任せろ」
「うん・・でもさ、パパッチ、湖うなぎって襲って来ないのか?」
「襲って来るかも知れないが・・残念ながら情報は不足だ。俺も知らない事は多々あるさ。でも、何とか確保しろ」
シンゾウにしては具体的なる策等は無かったようだ。とにかく捕獲せよ。生け捕りだと言ってもどんな奴なのかも知れない。そこで、3人は協力しなければ無理だなと言う共通認識に落ち着いた。むしろ、シンゾウはそうせよと言っているのかも知れない。何故なら、シンゾウの言う事、やる事は全て順を追っているからだ。また無駄が少ない。ただ、このミッションは並大抵の事では無さそうだ。
シンゾウが、ケンゾウを呼んだ。




