第1章6節 そして動き始める
シンゾウは頷きながら、
「父シンがここを発見したからこそ、当時最長300歳と言われた寿命が500歳まで延長された。だが、母アマンには間に合わなかった。けどな、シンタ、アカネ。ここでは父シン、母アマンも再生されている」
「ええっつ!」
驚く言葉がここで飛び出した。
「後150年後には、お前達のような姿で蘇るだろう。リンドウ、ケンゾウ。お前達は違った意味で再生体だ。しかし、今のお前達を見ると、死と言うものは無いのかも知れないな。だからこそ、ここは完全秘密にならねばならないんだよ。分かるか?多くを今は語らなくても、俺の言っている重要度は認識出来るな?」
「うん・・今ではその順序って言う説明が分かる気がするよ」
シンゾウは、デマルクによって復活した体が、今腹一杯水を飲み、そして、この砂粒をばりばりと食った後、彼等に異女事を話し続けた。そのシンゾウも、出会った時の倍以上のオーラが出ている気がした。
シンゾウは、今は体力を蓄え、ここで採取すべき物を示した。ゼニゴケと言うこの地下道にあるコケと、湖ウナギと言う200年に一度深海からやって来る巨大なウナギを食えと言うのである。それはワクイが創出したものでは無い。地球は、やはり完全に絶滅した訳では無かったのである。微生物や、深海生物、藻類、原生菌、ウイルスやその他は残存しているのだと言う。その中でこの湖ウナギは幾多の試練さえも乗り越えて来た、超栄養価を持つ魚類だと言う。そして人類復活の鍵は、シン、アマンの復活にあると言い切ったのだ。150年・・いや、それはもっと早いかも知れないともシンゾウは言った。
彼らには、今まで無かった目標と言うものが出来たのである。そして、シンタ達は毎日この湖に潜り、自分の限界深度を更新しながら、シンゾウとアカネはゼニゴケを探し始める。




