第1章 俺達って何者?
そう言って自虐的に言うシンタだった。どう言う訳か彼等を食うと、どの怪物達も・・まあ、彼らが出会った中での対象全てなのではあるが、再生出来ずに死んでしまうらしいのだ。それが分かったものの、そんな事等も微塵たりと教わりもしなかった2人だった。両親は結構放任主義で、彼等には自分で何事も覚えろ、遊びの中で学べと言う教育方針だったようなので、それなら、何となく分かる気がするし、こんな危ない地上の世界で遊べと言う親も居ないだろう。それに、聞いている限りは駆け落ち同然の両親は、ワクイから逃げ回っていたらしいので、地上に出る時は食料調達の時だけだったそうなのだ。
そして、家族が暮らしていた地下には、無数の穴がどこまでも続いていて、二人はシンゾウが出かける時に何時も利用していた場所から、地上の世界に出たのだが、迷路のようにそれは続いていて、一杯このような出口はあるそうだ。だが、*その出口が怪物達の入り口にならないのかと言う素朴な疑問が沸くが、何故か怪物達は穴の中には入って来ないらしいのである・・ここもらしいと言う表現に留める。
彼らは、言葉を伝えるのもまだ幼く、十分では無いようなので、移動中の『感車』での会話からも何となくそれが分かる気がする。
*そこも何かが隠されている部分である。
「だってさ、どっちかの選択になったら、そう言うのも闘いの手段じゃないかなと言っているだけさ。俺だって、そんなの嫌だからめちゃくちゃ切り刻みながらも、そのツボを探しているって言う事を、こうしてお前に伝えているのさ。アカネの場合は、まだそこまで経験値も少ないだろ?何故こんな選択肢の事を言うかと言えば、ぱっくんされたらさ、相手の弱点が見えるんだよな、お前もそうだっただろ?」
「それは、確かにそうだった。けど、だから嫌なんだって・・そんなの痛いし、臭いしさあ」
アカネは眉を曇らせる。シンタはだが、首を振り、
「だから、仕方が無い場合の話じゃん、でもな、今の所はそうするしか他に方法もねえじゃんと言ってるだけだ。だってさ、お前のサーベルも、俺のソードもパパッチのプレゼントだけど、使い方すら一回も教えて貰った事がねえだろ?そして俺達が地上に出てから、いきなりぱっくんされた。痛いし、暗いし、臭いしな、そう思った時に、その体の中で光る部分があって、そこにこのソードやサーベルを突き刺したり、振ったり、又良い匂いがして食ったりもしたよ。そして襲って来た怪物共を倒しはしたが、自分達の体が再生するって?そんな事も知らなかった訳だろ?」
「それが再生するって言うのは、怪物達を見てからよね・・全然、穴の中ではそんな事等一度も無かったから、教えてもくれなかったし・・」
アカネの顔が再び曇る。




