第1章6節 そして動き始める
「ふ・・まず、痛感は無いよな、寒さ、熱さもそうだ、無い。つまりA級には当て嵌まらないと言う事になる」
「じゃあ・・B級?」
「いや・・特異体、特級だ」
「そんな階級があったのか・・」
シンタ達が嘆息すると、
「これは言っておく。強い、弱いの戦いにおけるランク付けでは無いんだよ。所謂区別をする為にそう名付けている。それに名付けたのは、俺だよ」
「え!」
シンタ達が驚いた。
「この世界は、確かにワクイが地球脱出以降持ち出していた、数々のDNAや、細胞、培養して来た研究対象の異種遺伝子等・・俺も父シンから全て聞いている訳では無いし、母がむしろそっちの専門分野の博士だったそうだから詳しいんだよ。勿論、感車に残されたデータや画像の上でしか俺も知らないけどな。俺は、父シンに教えて貰いながら、この地下通路を開拓して行った。この感車を使ってな。この感車と言うのも、旧時代の大変な発明だったそうだが、既にこの1台しか残存していない。地球は第1波、第2波から第10波まで続いた大規模な地殻変動により、僅かに残っていた旧人類の文化遺産と言うべき痕跡すらも全て消え失せた。そこで、何故父シンが生き残れたのか・・それこそ、地底湖のカプセル・・つまりこの感車があったからだ。母アマンが300歳まで生き延びたと言うが、それは寿命が尽きたからでは無く、母も500歳まで十分に生き残れた筈なんだ。だが、それは天変地異による大規模な災いには抗いようもなく、屈してしまったと言う事なんだ。その時、リンドウ・・君の源体も共に亡くなった。ケンゾウ、君はその時は相棒のカイと地球のどこかに居て、やはり同時期に亡くなったと言う」
「俺達には・・分からないっす・・」
リンドウもケンゾウも同じく答えた。




