第1章6節 そして動き始める
「いやいや・・言葉が悪かったなあ・・・もうこのAゾーン、Bゾーン、Cゾーンにはお前達の敵は居ないだろう?それも自分より強い相手を食った時点において、もうそれよりランク下の物は食う必要も無い。不味いと思うものは体が不要って事さ。シンタ、お前は俺と同じ鼻が利くだろう?あ・それにケンゾウもそうだよな?」
突然自分に振られて、黙っていたケンゾウがびっくりした顔で答える。
「え・・う・・ん」
ケンゾウは、今度は子供達二人に言った。
「そう言う意味で、シンタ、アカネ。ここでミミッチ、果実を主食としたのは、お前達が生まれついて自然と授かっている感覚と言うものがあるからだよ。そして、リンドウ、ケンゾウ。それは君達にも作用した。恐らく君達の基となっているDNAは俺にも流れているから、それが主として体が構成されたのだと見る。こう言う俺も、この現在の世については、無知に等しい程度なんだよ。ほんのちょっぴり君達より知っている程度だと言う事だ。そして、このゾーンなんか比べ物にならない強敵は無数に居る。今の君達では幾ら再生細胞があっても、容易には対処出来ないだろう。感車は、言わば旧時代の乗り物。それは、父シンが遺してくれたものであるが、その情報は現在のこの地球においては、僅かにしか役立つ事は無いだろう。それに、これは機械と言う旧人類が作ったものだ。壊れれば修復なんて出来ないものだからね」
頷く4人だった。こうして、シンゾウ復帰により5名の人型生命体がここに集まった訳だ。こうして、いよいよと言うかやっとこの物語は、シンカラスの時代では暗中模索の発見こそ主であったが、この時代は戦う事・・それが現在を知る唯一の方法となった訳だ。4人が旧人類とは違う超人類的な破壊力を持っていたとしても、やはりワクイの言う道具を使うから、怪物達と渡り合えるのである。しかし、シンゾウはどうやら、シンタ、アカネが知らない能力を身につけている事だけは、おぼろに見えて来た。小山程ある巨大な生命体、デマルクを内部破壊させる程の何か秘めたるものを持っていると思えるからだ。4人は、リーダーのシンゾウを主体に従う事を約束した。勿論、それは当然の成り行きでもあり、最も頼りになるリーダーが復活したと言う事になろう。まだまだシンタ達は幼いし、能力的に未熟だと言う事に他ならないのだから。




