第1章4節 そして、再び振り出しの地へ
「おい、ケンゾウ、お前・・食ったのは一人だったのかあ?」
「何っ!何人も人型生体を食ったってか!」
リンドウの疑問に、シンタとアカネが驚いた。
「え・・いや、記憶なんて定かじゃねえんだ。だって、確かに湖に自分の姿を映した時・・あ・・Bゾーンで初めて湖なんて見たからさ。リンドウと同じような奴らは幾人?人型って言うんだろう?居たと思う。Cゾーンでは怪物に食われて、そのまま再生しなかった奴らも居たぜ。その怪物を食った俺は、間接的に人を何人も食ったと言うのなら、そうだと思う。俺と一緒に行動していた人型は、俺が野生って言うのかな・・人型には理性つうもんがあるんだとお前達から聞いた所だが、そんなもん完全にすっ飛んでいた時さ。だって仲間なんてあり得えねえ世界だった。見ただろうが?殺らなきゃ、食われる。再生しても弱いやつはまた食われる。食うしかないのさ。再生させない為にはな、いや・・食っても食われた方の奴の体に再生する怪物も居る。それを何がどう言う事なんだかと分かる筈もねえよな」
ケンゾウが言うのが一番シンプルな答えに思えた。すると、人型はリンドウの言う5人だけでは無いと言う事になるのだ。そして・・シンタが突っ込もうと思った過去時代の学者の再生体がそこに居たなら、ケンゾウはその者の遺伝子を取り込んでいる事になるのだ。
「かなりCゾーンでは違うんだなあ、とにかく危ない怪物だらけだった。ケンゾウが生き残る為には理性なんてもんは要らねえわな、頷けるわ」
「来る日も来る日も食われ、食い、戦い、そんな永遠とも思える時間が過ぎて行った。眠るなんてアカネの寝顔を見てさ、うらやましいと思ったぜ。俺は、うとうとしかした事が無かった。だから、考える事なんて出来なかったし、その必要性も無かった。先制攻撃こそ、ベストだったんだよ。あれ・・何だか納得している顔だが、反論があるのか?」




