第1章4節 そして、再び振り出しの地へ
「そうか、分かった。つまり、そう言う事にしろ。でも分からねえ事だわ、あはは」
シンタは笑い飛ばすと、リンドウは、
「まあ、何でも良いや。いちいち驚いていても、この現実は受容するしかねえんだからさ」
その通りの状況である。シンタにとって彼らの知らないゾーンを案内する事は、この3ゾーンの情報、状況を体現する事なのだ。そこにチームの意味があるような気がする。シンタは深く考えては居ないのだろうが、こうした一つ一つの行動は、シンの血脈の所以では無いだろうか。
ワクイは勿論この事を注視しているようだ。しかし、ワカナにそれを言う事はしなかった。ワカナも新たに得た情報を、ワクイに知らせるつもりは毛頭無かった。つまり、彼を敵視している事になる。親子と言う関係・・一体そこに何の意味があるのだ?と彼女は思っている。その父は娘と言う関係すらも、自分は実験体の一つに過ぎないのだと思えるからだ。
全てはシンゾウが復活するまで・・子供達と、ワカナは願っていた。シンタがこの先に進むより、もう一度原点に戻る選択をしたのが、吉と出るか凶と出るかは分からない。しかし、兄妹もリンドウもケンゾウもパワーアップしている事に間違いは無さそうだ。Bゾーンで襲って来る怪物達は、もうガラーク以外には居なかった。そのガラークでさえも、既にリンドウが完全に御する事が出来る対象なのだ。ケンゾウもガラーク数頭を仕留めた。ただし、彼らはそれ以上もう食する事は無かったのだ。そのガラークはまた再生されていく。少なくても、この湖の主として君臨させておく方が良いような気がするのだった。勿論、感覚である。シンタ達は、感覚で現実を泳いでいるのである。それ以上何が出来ようか、先も分からぬのにである。




