第1章 俺達って何者?
「でもさあ、その情報を持つ唯一の二人が、今あたい達の傍に居ないんだもん、しょうがないわよ。こうやって今のA地区だけでも、こんな化け物がうようよしているんだからさあ、あたい達は、進むしか無い訳じゃん、こうやって。でも、どうなるのかなあ・・私達は」
「さあな・・」
両手を広げるシンタには答えようも無い事だった。要するに、何事も自分で考え、体現しろって言う教えらしいが、こんな化け物がうようよする世界の中で、この幼い?兄妹が生きて行けって?これは無茶苦茶無謀なものに違いない。その事だけは明らかだろう。だが、その時代の文化的遺産と言うか、この二人の身体能力がやはり並みでないらしい事も、ここまでの経緯で良く分かってきたのだが・・。
「さて、行くか。俺達は、パパッチから知らされていた地球上のA~Zまで26地区もあるらしいが、このA地区だけでもこうして20種の化け物を見て来たしな、ところで・・アカネ、俺は4回だが、お前は何回食われた?」
「あたいは6回だよ。もう体の中はくっさいし、中には超まずそうな匂いが漂っている奴も居たしさあ。ぷんぷん」
そう言って、アカネは頬を膨らませるのだった。
「まあ・・その都度噛み砕かれて、痛い思いもするが、ミミッチのようなぱっくんタイプだったら、腹の中からそいつを食えるし、そう痛みも感じ無いけどさ」
「とにかくさ!あたい達が、美味しそうに見えるのかどうかは知らないけど、もう・・どいつもこいつも襲って来るから腹が立つのよね!ほらっ!」
そう言いながら、アカネは、眼前に飛びかかって来た、今度はカエルの化け物のような赤茶けた大地に、まるでカメレオンのように溶け込み、気配を消していた、推定3メートル程の大口を開けた化け物を、そのサーベルで切り裂くのだった。
「おいっ!アカネ。そいつはそうやるんじゃねえよ!」
言った途端に、そのカエルの化け物は、見る見る青黒く今度は染まり、形態を変化させ、倍以上の全く違う姿の恐竜になったのだ。シンタが最初に闘ったピラリックになったのであった。
「きゃあ!」
アカネは、かろうじて短い叫びを上げ、飛びのいたが、シンタが、もう空中に飛び上がり、ソードで背面から後頭部に切りつけて倒していた。そしてばらばらに刻むのだった。




