第65話 悪役令嬢は壊れたイヤリングを探し出してもらう
「あったわよ、デゼル」
ヒロインが探さないと見つからないのかもしれないと、諦めかけていたイヤリングを、ユリシーズとジャイロがついに探し出してくれたのは、その翌週のこと。
やっぱり、壊れてしまっていたけど、それでも私、本当に嬉しかった。
「ありがとう! ありがとう、ユリシーズ、ジャイロ」
私ね、ユリシーズがとても好き。
きっと、聖女様って、ユリシーズみたいな人を言うのね。
こどもを殺すなんて、誰だって、したくないはずなのに。
闇幽鬼だからって、平気なフリをして、私の心の負担を軽くしてくれた。
とても、優しい人なの。
すごくつらいことを頼んだのに、恩に着せもしないの。
生命の水のお返しだからいいのよって。
それに何より、煮沸してもらえたのは、本当に助かったもの。
煮沸に比べたら、私が自分で考えた方法なんて、私とサイファの命を危険にさらしたばかりで、うまくいくかあやしかったの。
ユリシーズって、さすが闇の十二使徒だけあって、すごく、頭がいいのよ。
その頭のよさを、他人のために使ってくれる優しい人なの。
だから私、ユリシーズが大好き。
すごく綺麗で優しくて頭もいい、自慢のお友達。
ただ、ユリシーズがネプチューンを好きらしいのは、なんだか、心配だけど……。
ゲームのユリシーズも、ネプチューンに片思いしているフシはあったのよ。
だからこそ、ヒロインに断罪されて殺されるシナリオを組まれてしまったんじゃないかって。
罪状はまさか横恋慕じゃなく、悪の帝王に加担して多くの人々を苦しめ、たくさんの命を奪ってきたことなんだけど、主犯の悪の帝王を許すヒロインが、配下のユリシーズだけ断罪するのっておかしいよね。シナリオの恣意を感じてしまうの。
京奈とユリシーズでシナリオ通りの殺し合いになんて、そんなことにはまさか、ならないよね?
二人とも、優しいもの。
ゲームのシナリオ通りになんて、なるはずない、よね。
私あんまり、ネプチューンが好きではないの。
犯られたからっていうわけじゃないのよ。
それがないとは言わないけど、それも含めて、やっぱり悪役令息だから、いい人ではないのよ。
極悪人ではないけど、自己中心的なところは確実にある。
ユリアを殺されたからといって、何万人もの犠牲者を出して内戦にするのはどうなのかなとか。
ましてや、聖サファイア王国への仕打ちは滅茶苦茶よ。
ネプチューンがそういう人なだけに、一抹の不安があるの。
私を犯るくらいだもの、彼のことを好きなユリシーズと関係を持つくらい、朝飯前なんじゃないかしら。
ユリシーズって、とても綺麗だし。
なんだか、心配なの。






