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悪役令嬢と十三霊の神々 ~悪役令嬢はどうしても町人Sを救いたい ~  作者: 冴條玲
第二章 魔神ルシフェル来襲 ≪永遠のロマンス≫
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【Side】 ガゼル ~悲報、ヒロイン落命~

 私はデゼルに『夜明けの守護』を与えた時、デゼルにもサイファにも憎まれて死ぬ覚悟だった。

 よもや、あの子達がなお私を支えてくれようとは、思いもよらなかったんだ。


 本当に、サイファには敵わないよ。


 傍にいながら、デゼルを守れなかった私を、サイファはどうして許せるんだろう。

 サイファがいなければ、私は今頃、自分で自分を許せずにいたんだ。

 デゼルがサイファの傍にいたがるはずだよね。


 デゼルにもっと、『夜明けの守護』を遠慮せずに使えと伝えられないことが、もどかしくてならないよ。

 毎日、朝夕の二度しかデゼルは『夜明けの守護』を使わないけれど、明らかに耐えているんだ。

 なぜって、使われた時に負わされるダメージが重すぎるから。

 デゼルが死んでしまったら、それこそ、私の命はないんだから、そこ、遠慮しなくていいんだけどな。


 サイファの瞳を見ていると、声を聞いていると、絶望しそうになっていた気持ちが持ち直すんだ。

 サイファが傍にいることに慣れてしまったら、一人では逆境に立ち向かえなくなりそうだよ。

 とても不思議な、優しい子だね。


 いっそ、サイファの方を襲いたくなったりしてね。


 うん? ちょっと待って。冗談だよ?


 それにしても、サイファがいなければ本当に絶望するところだったよ。

 スノウフェザーに確認を取るだけで七日かかってしまうんだ。空振りだったら、もう、『夜明けの守護』がもたない。

 デゼルを七日以内に探し出すことなんて、到底、できそうにないのが現実なのに。


 なるほどね、確かに、オプスキュリテに見せられた最期のデゼルは、十七、八歳に見えた。

 だとしたら、絶望している場合じゃないな。

 とにかく、手掛かりを追わないと。



 帝国に到着すると、闇の十二使徒の一人アスタールの家の執事が出迎えてくれて、私達は早くも、危惧していた不幸な知らせを聞かされることになった。

 二日前に、ユリアが亡くなってしまっていたんだ。

 皇太子ウラノスからオプスキュリテ公国に侵攻するようにとの命令も、それより前にネプチューン皇子に出されて、皇子は私達との約束通り、その命令には従わなかったそうなんだけど。

 ネプチューン皇子はクーデターの準備のため天界に向かわれて、城にはいないとのことだった。その間にユリアに不幸があって、皇子はまだ彼女の死を知らないらしい。

 天界というのが何のことなのかは、わからない。

 とにかく、いないものは仕方がないのでスノウフェザーに向かった。


 サイファに教えてもらった、公邸にあるものと同じ宝玉のある場所を中心に、部下達にも命じて徹底的に、手掛かりを探したのだけれど。

 丸二日かかって、手掛かりはついに見つからなかった。空振りだった。

 もう、デゼルを見失ってから五日が経ってしまったのに。


「サイファ、グノースというのは地名だろうか、人名だろうか、魔法やスキルの名だろうか。あるいは、皇子が向かったという天界と関係のあるものだろうか」

「わかりません。ですが、手がかりがまったくない以上、ネプチューン皇子が知っていることに賭けて、皇子の帰還を待つのはいかがでしょうか。ガゼル様、デゼルの話では、ユリア様が亡くなるのは公国が侵攻されている最中のはずでした。今、デゼルだけでなく公国の命運も正念場です。デゼルにもしものことがあった場合に、皇子がどうするか、最悪は公国に侵攻する方向にいってしまうかもしれません。それだけは、何としても止めないと。僕達は、公国を守ろうとすればデゼルが酷い目に遭うかもしれないと承知で、公国を守るために動いてきたんです。この上、公国を滅ぼされてしまったら、デゼルがあんまり――」

「わかった、そうしよう」


 デゼルが公国にいるのか、帝国にいるのか、そのどちらでもない他国にいるのか、まったくわからない。

 最悪は、天界とか魔界とかのような場所にいることだって考えられるんだ。


 デゼルを連れ去ったのは神なんだから。


 こうなった今は、サイファの言う通り、帝国の動向に注意を向けて、公国の滅亡を確実に阻止することに全力を尽くすしかないんだろう。

 これまで、そのために全てを懸けてきてくれたデゼルのためにも。

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