第53話 悪役令嬢は災禍の女神の祝福を授かる
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ガゼルが闇主【Lv11】に覚醒しました。
ガゼルのすべてのステータスが二段階上昇しました。
デゼルに『夜明けの守護』がかかりました。
これより七日の間、体力、精神力、守備力、抗魔力、回避力のステータスが三段階、パラメータが120上昇します。
同じ七日の間、「夜明けの守護」の宣言により、デゼルとガゼルのHPを交換できます。
さらに、デゼルが致命傷を受けた時、一度だけ、ガゼルが身代わりとなり、自動でHPが交換されます。
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私が泣きながら、震える手で、脱がされた服を着ようとするのを、ガゼルが手伝ってくれた。
「デゼル、闇主はね。闇巫女が死ぬと、死ぬんだよ」
「えっ……!?」
「デゼル、私にとって、公国が私の代で滅ぶのは死ぬよりつらいことだった。だけど、デゼルが守ってくれたね。公国はきっと、もう、滅ばない」
闇の十二使徒のうち十一使徒までが、今、ネプチューンよりも私に忠誠を誓っている状態にあるの。
この状態で、ネプチューンが公国に侵攻するのはまず不可能。
「だから、今度は私が君の大切なものを守ってあげるよ。――サイファを」
そんな、闇巫女が死んだら闇主も死ぬなんておかしい!
デゼルが死んでも、ヒロインがわざわざ殺さない限り、モブリーダーは生き残るはずなんだもの!
「デゼル、必ず生きて、私との約束を守って欲しい。サイファと一緒に、私の御代にその生涯を捧げると約束したね」
私の手を両手で押し包むようにして、ガゼルが微笑んだの。
「一度でいいから、愛していると言ってもらいたいんだけど」
「……」
「言ってあげれば? その子、もうすぐ死ぬわよ?」
突然、上から艶やかな声が降ってきて、私もガゼルもぞっとしたの。
明らかに神様なのに、これまでに会った神様とは違った。
闇に縁取られた薔薇色のオーラを纏う、妖艶な魔女。
「その子は嘘なんてついていないわよ? うふふ、デゼル、『月齢の首飾り』を調べないなんて、手抜かりが過ぎたのではなくて? 闇巫女が死んでも闇主が死なないためには、『月齢の首飾り』をかけていなければならないの。クライスに頼めば三年で開発してくれるけど、あなた、まだ、頼んですらいないものねぇ? どうして、ネプチューンに『月齢の首飾り』が必要なのかわかった? ネプチューンもあなたを犯るからよ」
恐怖で声も出せない私に向かって、女神が胸に手を当てて見せた。
「はじめまして、あたし、災禍の女神エリスよ。あたしの力は調べたわよね? とても素敵でしょ? あなたにあたしの祝福を授けてあげにきたの。嬉しいわね?」
「や……」
私はエリス様とガゼルを見比べて、エリス様の言うことはすべて本当かもしれないと感じたの。
災禍の女神でも、エリス様は神。災禍と殺戮を司る神。嘘はたぶん、つかない。
「ガゼル様、ガゼル様、愛しています」
そうしたら、エリス様が手を叩いて笑ったの。
「ああ、サイファに聞かせてやりたいわ! どうして、ユースティティアの承認が取り消されないのかしら。おかしいわねェ? 後で、主神を問い詰めてやらなくちゃ」
キンコーン
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闇巫女デゼルに災禍の女神エリスからの祝福と承認が与えられました。
女神の祝福により、魅力が一段階上昇し、災禍【Lv1】が付与されました。
災禍【Lv1】により、最愛の者を身代わりに自分を助けます。
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「知っているわね? 私は謙虚な女神なの。承認条件なんて設けてあなたを試したりしないし、承認を取り消したりもしない。これで七つ目の祝福ね、凄いわ、デゼル」
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SPを1消費し、災禍【Lv2】になりました。二人の他人を犠牲に自分を助けます。
SPを1消費し、災禍【Lv3】になりました。三人の他人を犠牲にあらゆる傷病を癒します。
SPを1消費し、災禍【Lv4】になりました。四人の他人を犠牲にあらゆる魔法と神与の一般スキルを跳ね返す衣を四時間まといます。
SPを1消費し、災禍【Lv5】になりました。五人の他人を犠牲に裏攻略情報およびハッキングシステムにアクセスできます。
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「私、親切だから、災禍【Lv10】まで上げてあげるわね。うふふ、災禍はリセットできないの。このあたしの力がいらないなんて、そんなわけないもの」
「やめて!!」
駄目なのよ、災禍【Lv10】は!
どうして、こんな恐ろしいスキルがあるのかと思ってた。
誰が災禍を【Lv10】まで上げたりするのかと思ってた。
女神様が直接、上げるからだったの!?
「ガゼル様、逃げて!」
「デゼル、駄目だ!」
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SPを1消費し、災禍【Lv6】になりました。六人の他人を犠牲に巨万の富と六日間の強運を手にします。
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「時空【Lv2】――目標、スノウフェザー!」
ガゼルが私を置いて逃げてくれないから、私が逃げようと思ったの。
スノウフェザーなら寒村で、一番、人が少ないの。
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≪ システムエラー ≫
災禍の女神エリスのハッキングにより、目標が変更されました。
【目標】 グノース郊外
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私、グノースは訪ねたことがないのに!
私が公国内で唯一、時の精霊と契約しなかった場所なのよ、それなのに!?
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SPを1消費し、災禍【Lv8】になりました。八人の他人を犠牲に、対象者の魔法と神与の一般スキルを八時間封印します。
SPを1消費し、災禍【Lv9】になりました。九人の他人を犠牲に、対象者を支配します。
SPを2消費し、災禍【Lv10】になりました。傍にいる者に『災禍』の呪いをかけます。呪いがかかった者は犠牲に選ばれやすくなり、また、呪いがかかった者の中から、毎日、最低一人があなたのための生贄となり、あなたに財産や功績を残す形で命を落とします。このスキルはパッシブ(常時発動)です。
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もう、滅茶苦茶なのよ。
災禍だけ、おかしいの。
犠牲を伴うスキルなんて他にないのに。
【線画】カゴ様 https://skima.jp/message/topiclist?id=157340
【彩色】浅間燈切様 https://skima.jp/profile?id=160609
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頂いたご感想
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★☆ しき様より ☆★
この2話はガゼルさんの気持ちを思うと辛いです…。何て損な役回りなんですか……
好きな子の想い人をも救うって決断は簡単な様で難しいはずです。だって人間は欲塗れな生き物ですから。
いくら恩があると言ってもデゼルさんだけ救うという選択肢も選べたと思います。
でもそれをしないのがガゼルさんらしく、オーラの輝きが眩しいという意味を理解できました…。
「一度でいいから、愛していると言ってもらいたいんだけど」という台詞から私欲が垣間見えるのが良きですね…。
状況と合わせてそれを汲取り、愛していますと口から出せるデゼルさんもやっぱり思慮深いなと思いました。(ちょっと適切な表現が思いつかなかったので伝わらなかったら、すみません。)
状況的にガゼルさんがやったことはデゼルさんの為だろうと分かってはいても、受け付けられない方もいると思います。そんな中で事後すぐに相手のことを考えられる思いやりはデゼルさんだからなのだなと思いました。
ガゼルさんがデゼルさんを慕う理由もここに現れている様に感じました。
ガゼルさんについては一章から思っていたのですが、柔らかくだけど伝えたい事はきちんと伝えてる辺り王道王子様感あります。
優しくて、たまに強引…素敵ですね!
エリス様はポロッと『月齢の首飾り』のところを言っちゃう辺り、デゼルさんを苦しめたいというより、本当の目的は別のところにあるのかなと思いました。いや、慢心しちゃうタイプかもしれないけど、最重要って訳ではないから言っちゃったのかなみたいな。
★☆ 作者より ☆★
ガゼるんて、そもそも『知らないふり』するだけでさいふぁ様を破滅させてデゼるんを手に入れることができたのに、借金のカタに異国に売り飛ばされる寸前だったさいふぁ様を、身を引いてくれたらって交換条件さえも出さず、助けてあげているんですよね。
さいふぁ様を助けてくれるの二度目なガゼるんだから、デゼるんも愛していますと言わずにはいられなかったんだと思います。
さいふぁ様と別れてガゼるんのお妃様になるなんてことは、とても考えられないデゼるんだけど、公子様として、人として、ガゼるんのことは心から敬愛しています。
叶うなら闇巫女として、生涯、さいふぁ様と一緒にガゼるんにお仕えしたかったです。
ガゼるん「サイファと一緒に、ね……」 ← ちょっと泣きそう
『理想的な王子様を』『悪者にすることなく』『町人Sが降参させる』物語を書きたかったので、素敵な王子様と感じてもらえて嬉しいです✨
策士策に溺れた私は、ガゼるんを素敵に書きすぎて、デゼるんへの想いが報われないのが気の毒でならないのですが。ごめんよガゼるん。
月齢の首飾りについては、エリス様はなるべく、
(1)デゼるんが大勢に迫害されるよう仕向け、
(2)デゼるんにみんなを憎ませて、
(3)デゼるんが水神の力で大洪水を起こす方向に誘導したい。
ため、その前にデゼるんに死なれたんじゃ、せっかくの殺戮のチャンスがふいになって、あまり面白くありません。
そこで、死ぬより辛い目に遭わされても、デゼるんが死ねないように、月齢の首飾りを手に入れる前にあんたが死ぬとガゼルもサイファも死ぬわよって教えてあげました。悪魔です…!(悪魔です。)






