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悪役令嬢と十三霊の神々 ~悪役令嬢はどうしても町人Sを救いたい ~  作者: 冴條玲
第二章 魔神ルシフェル来襲 ≪永遠のロマンス≫
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第51話 町人Sも中学校を中退する

 あ、先生だ。


「……先生は、デゼルを叩いていいと思っていたんですか」


 嘘、サイファまだ、あのこと怒ってたの!?

 サイファの目が、結構、真剣に先生に対して怒っているの。


「先生、僕も中退しようと思います。僕が中退すると、ジャイロがクラスで暴れるかもしれないと思って、ためらっていたけど」

「何っ……」

「先生、デゼルは怖いんです。今年、公国に大変な危機が迫っていて、僕達は三年も前から、時には公子様とも一緒に、公国を守るために働いてきました。小学校に問い合わせて頂ければ、何度も、公欠を取った記録があるはずです。――デゼルがしたことも、僕がしたことも不適切でした。だけど、デゼルは公家に一言、先生に叩かれたと訴えれば、先生の首を飛ばせる闇巫女です。デゼルがそうしなかったことの意味を、先生は、どうお考えなのでしょうか」

「闇巫女……? なんだね、それは。私はデゼルを学業成績に優れた生徒と認識しているが、それは、授業放棄をしていい理由にはならない」


 私もサイファもあっけに取られて、顔を見合わせたの。

 闇巫女を知らない先生がいるんだ……。


「ご存知なかったのであれば――わかりました、デゼルがしたことも、僕がしたことも不適切でした。認めます。中退します」

「サイファ様!」


 私がびっくりして叫ぶと、サイファが苦笑したの。


「デゼル、デゼルの十一歳の誕生日まで、残り五ヶ月を切ってるんだ。デゼルの無事な姿を確認できない教室じゃ、授業が頭に入らなくて、苦しいだけだった。先生には、十月になってから謝るから。十月まで公国が存続していれば、僕達の勝ちだ」


 どうしよう、すごく嬉しい。

 サイファはなんて、綺麗な瞳の色ができるの。


「さっきみたいに、デゼルを泣かせた記憶が最後になるのは絶対にいやだから。一緒にいようね、僕が必ずデゼルを守るから」


 私がきゅっとサイファの手を握り返すと、ジャイロが面白くなさそうに言ったの。


「逃げんのか、サイファ」

「続きはまた、ユリシーズの火傷(やけど)が癒えてからつきあうよ。ジャイロ、僕も楽しかった。また神殿でね」



 つくづく、小学校の先生はあたりだったのね。

 優しい、いい先生だった。


 そして、私達が中学校に戻ることは、二度となかったの。

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