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悪役令嬢と十三霊の神々 ~悪役令嬢はどうしても町人Sを救いたい ~  作者: 冴條玲
第一章 悪役令嬢はナイトメアモードを選ぶ
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【Side】 ガゼル ~君の瞳に逆らえる気がしない~

 参ったな。

 デゼルはああ言うけど、あの子、デゼルに公妃が務まらないなら、誰に務まると思っているんだろう。

 公家と闇巫女の婚姻が歴史的に推奨されてきたのがどうしてか、デゼルを見ていると、よく、わかるんだけどな。


 デゼルを公妃にしたために国政が乱れるなんて、あるわけがないと思うよ、デゼル?


 公妃に推薦されている才媛の誰にも、まだ七歳のデゼルが書いたあの手紙ほどのものは書けないよ。

 誰かに代筆を頼んだのかなとも思ったけど、デゼルの瞳は明らかに手紙の内容を理解していた。

 デゼルが書いたのでなければ、あの内容の手紙を七歳の子供がそらんじるなんて考えられないし、手紙の内容と一語一句同じだったわけでもないんだ。

 それでも趣旨を外していない。

 デゼルが書いたんだ。

 デゼルの周りに、私を断る手紙の代筆を引き受ける者がいるとも思えないしね。


 サイファにも驚いたよ。

 数日前に会った時には、ああ、子供だなと思ったのに。

 あの子、デゼルの手紙の内容を理解していた。

 私じゃあるまいし、十一歳の子供が理解できる内容じゃないはずなんだけど。

 それが彼なりの覚悟の証だと言うなら、もう、認めざるを得ない。

 ただの子供だと見くびっていたけど、デゼルの目は確かだったみたいだ。


 そう、サイファもまた、ただ者じゃなかった。

 あの子は公子である私にデゼルを譲らせるつもりでありながら、一切の気負いも敵意もなく、純粋な憧憬の眼差しを私に向けたんだ。

 あの子は本気で私に敬意を払い、忠誠を誓っているのに、私にデゼルを譲らないどころか、私にデゼルを譲らせることができると確信していた。


 サイファが振りかざすのは、あれはどういう種類の力なんだ?

 私がこれまで、存在を知らなかった種類の力なのは間違いない。


 あの二人が私に忠誠を誓ってくれることを、頼もしいと考えるべきなのかもしれないけど……。

 私の方がサイファに逆らえないんじゃないか、なし崩しに従わされるんじゃないかと感じるんだよ。


 あの澄み切った翠の瞳には、勝てる気がしないんだよ。まったく。



 いずれにしても、デゼルほどの才媛も、デゼルほど美しく愛らしい令嬢も、私は他に知らない。

 あの子は、公民のための犠牲になることを(いと)わない、『夜闇に浮かぶ月』だ。

 デゼルは闇巫女として正しく、天空から下界にあえかな光を降らせているんだ。


 諦めるしかないとわかっていても、忘れるのは難しそうだよ。困ったな。

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― 新着の感想 ―
[一言] ぱーぺき公子。 いいひと。 ちっちゃなこいのものがたりを 足蹴にしない。 できた12歳 じつは中身が25歳とかいいませんか
2020/11/22 20:21 点目のじじ
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