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悪役令嬢と十三霊の神々 ~悪役令嬢はどうしても町人Sを救いたい ~  作者: 冴條玲
第一章 悪役令嬢はナイトメアモードを選ぶ
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第23話 悪役令嬢は町人Sを割とSだと思いました

 寝台に寝転がったサイファが、水晶球とにらめっこしている私を見た。


「ねぇ、デゼル。何してるの? まだ、寝ないの?」

「うん、もう少し――」


 闇の十二使徒のことだけでも、急いで調べておかなくちゃ。

 それぞれを、いつまでに、どこで助けないといけないのか、私は攻略ノートに書き出していく。

 急ぐのはクライスで、あと一週間しかなかった。

 完全攻略ガイドに、闇の十二使徒がそれぞれ、いつどこで闇落ちするのか網羅してあったの。

 私とユリシーズ、ゲイルとクライスで四人。

 残りの八人はそこまで急がないけど、トランスサタニアン帝国の出身者ばかりだから、会うのが難しそう。


 時の神殿の場所も調べて、地図を写した。


 そこでふと、私を眺めているサイファと目が合ったの。


「サイファ様……」


 私がついふらふら、サイファのとなりに潜り込むと、サイファが微笑んで、抱いてくれた。

 優しくて、心地好いの。

 私、こんなに幸せな気持ちって、他に知らない。


 しばらく、そのまま、抱いてもらってた。

 そのうち、私を真剣に見詰めたサイファが、いつかみたいに、額に、耳元に、唇に、優しいキスを降らせてくれた。


「――デゼル、抱いてもいい?」


 サイファ、ショックだったのね。

 夢中で気づかなかったけど、後で鏡で見たら、スプラッタだったもの。

 でも、契るのは無理よ?


「サイファ様なら、いいよ。――闇主にはなれないけど」

「そう――」


 サイファが嘆息して、それでも、私を抱き寄せてくれた。


「どうしたら、デゼルを守れるんだろう」


 サイファはできることは、みんな、してくれているの。

 私に生活の仕方を教えた後、戦闘訓練も受けて、闇魔法の練習もして、学校の宿題だって、真面目にしているもの。


「私ね、明日にも、クライス様に会いに行きたいの。それから、時の神殿を訪ねて、時の精霊を探して回りたいの。誰とも戦ったりはしないはずだから、私が迷子にならないように、サイファ様が地図を読んで道案内してくれたら、守れると思う」


 虚を突かれた顔で私を見て、ぷっと、サイファが吹き出した。


「そういえばデゼルって、一本道でも迷うもんね」

「そうよ。だから、サイファ様がついてきてくれないと、目的地にたどり着けないんだよ。デゼルはまじめに言ってるんだよ」


 つないだサイファの手に、そっと、キスしてみた。


「サイファ様も、きっと、三年後までには闇主になれると思う。すぐには無理だけど。だから、ジャイロが死鬼になってくれて、よかったかもしれないと思うの。危ない所には、ジャイロと三人で行こう?」

「……それって、僕が行ったら、足手まといになるんじゃないのかな」

「サイファ様は、足手まといなんかじゃないよ。サイファ様にしか頼めないことがたくさんあるもの。ジャイロにしか頼めないこともあるし、私が頑張るしかないこともある」


 ジャイロがアタッカーで、サイファがヒーラーなら、バランスはむしろいいと思うの。

 水神にモードチェンジできる上、闇巫女としての地位もある私は、単独行動が多くなりそうだから、私が一人で動いている間、二人で、身を守っておいて欲しいの。

 ジャイロを一人で放っておいたら、どんな騒ぎでも起こしてくれそうだし。


「――こうして抱いていたら、少しは、力になれるの?」


 わぁっ。

 サイファって、私がだっこされたがるから、だっこしてくれてたんだ!?

 私は真っ赤になって、こくんとうなずいた。


「ふふ、可愛い」


 わぁっ。

 私が真っ赤になった顔を隠そうとした手をサイファがつかんで、見詰めるのよ。


「や、サイファ様」

「抱くのとかって、どうしたらいいのかな。えぇと、こう、つかむとこうだから……」


 わぁっ。

 今から、そんなこと考えなくていいよ!


「サイファ様、よい子は寝る時間だよ、デゼルわかんない!」


 ほんとうに、わからないのよ。

 サイファとしか、一緒に寝たことないんだもん。

 キスだって、サイファとしかしたことないのよ。


「そうだね、わからないけど、したいようにすればいいのかも。その時になったらできそう。デゼルが可愛いから」


 わぁっ。

 サイファったら、まだ、私の両手をまとめてつかんだままなのよ。

 そんなこと、すぐ傍から見詰めながら言わないで。私、きっと、耳まで真っ赤になってる。


「……ん…ぁっ……」

「デゼル、こうするといい?」

「や、サイファ様っ……」


 やめてやめて、サイファ、S気あるッ!

 私がよがって息を詰めると、私が涙ぐんでるのに、こうがいいんだねって言うのよ。

 知らない、知らない、何されてるのかわかんないッ!


「ごめんね、震えてる。もう、しないから」


 ひっく、ひっくと、しゃくりあげる私を(なだ)めるように、サイファが優しく言って、つかんでいた手をはなしてくれた。


「しても、いいよ……」

「だってデゼル、泣いてるよ」


 どうして泣いてるのか、自分でも、わからないのよ。

 許してもらってほっとしたけど、私が泣いていても、サイファになら、もっと、されたかったような気も、する、ような。しない、ような。


「また、今度にしようね」

「うん……」

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