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悪役令嬢と十三霊の神々 ~悪役令嬢はどうしても町人Sを救いたい ~  作者: 冴條玲
第一章 悪役令嬢はナイトメアモードを選ぶ
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第22話 町人Sは悪役令嬢を守りたい

「デゼル、どうして、僕に前に出るなと言ったの」


 マリベル様がユリシーズとジャイロを休ませるため、別室に連れて行くと、サイファが静かな怒りを感じさせる口調で言った。


「ジャイロに殺されると思ったの」

「デゼルは!」

「私は闇巫女だから、魔法には強いよ。――サイファ様、本来なら死鬼と互角の闇主であるあなたが、ジャイロに敵わないのは、私と契っていないから。サイファ様はまだ、闇主になりきれていないの。サイファ様を闇主にする私の力が足りないの」


 強く、私の肩をつかんだサイファが、私を壁に押しつけて口づけてきた。


「…ん……」


 押しつける腕が震えて、サイファが泣きながら、私の肩に顔を埋めた。


「――ごめん、こんな……でも、肝心な時にデゼルを守れない闇主なんて!」

「そんなこと、ないよ」

「今! デゼルがジャイロに切り刻まれるのを、黙って見てるしかできなかった!」


 サイファが優しくて、私に向けてくれる想いが心地好くて、私はこんなに幸せなのよって、どうしたら、伝えられるんだろう。


「サイファ様は、サイファ様がいなかったら、私がどうなるか知らないから、つらいんだね」

「え……?」

「私、たたかえないよ。サイファ様が知っているデゼルは、サイファ様に支えられたデゼルなの。私は、サイファ様がいなかったら、学校にさえ行けないもの。行かなかったんじゃない、怖くて、行けなかったの」

「……」

「ねぇ、サイファ様。デゼルと一緒に『時の神殿』を探しに行こう?」

「時の神殿?」


 私も、怖くなった。

 死鬼が覚醒した時、本当に、サイファを殺されるかもしれないと思ったの。

 ジャイロはサイファを殺そうとしてたわけじゃない。

 それでも、殺されておかしくなかった。

 私が闇の十二使徒を助けて回るのに、サイファを連れて行ったら――

 ジャイロなんかより、ずっと、力のある人達が相手だもの。

 『闇の十二使徒』が覚醒するようなイベントを阻止して回るのに、サイファを連れて行くことがどんなに危険なことか、思い知ったの。

 今の私とサイファが何をしたって、サイファが闇主として覚醒することはできないけど。

 時空の神クロノスの祝福を得られれば、もしかしたら――


「サイファ様、今夜は嵐だし、泊まっていく?」

「――そうだね」

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