第18話 悪役令嬢は夏休みのグループ研究をたくらむ
「先生、自由研究はグループでやってもいいですか?」
「ああ……、まぁ、いいよ」
よし、と、私は両のこぶしを握り締めて気合を入れた。
「一緒にやろうね、サイファ様」
「うん」
頬杖をついて私を眺めていたサイファが、優しく笑ってうなずいてくれた。
「あと、ジャイロとスニールも誘うつもりなの」
「……え?」
ホームルームが終わると、私はさっそく、ジャイロとスニールの席に向かった。
「ジャイロ、スニール、夏休みの自由研究は決めた? まだなら、一緒にどうかな」
二人とも、ぽかんとして私を見た。
「は?」
「オレは、別にいーけど」
ジャイロの返事に、例によって、聞いていたマリアが驚いた顔でまくしたてた。
「ちょっと、デゼル、どういうつもり!? 男の子ばっかり誘って、サイファ一筋じゃなかったの! しかも、スニールなんか誘うとか」
「好きなのはサイファ様よ。だけど、マリア、今の言い方はよくないと思う。私がスニールだったら悲しくなる。私にとっては、スニールもマリアも同じクラスメイトよ。マリアも一緒にやる?」
マリアまで、ぽかんとして私を見た。
聞いていたクラスメイトが、ぼくも一緒がいい、わたしも一緒にやる、と、どんどん集まってきた。
『なかま』になってたジャイロとスニールには参加してもらいたかったんだけど、まぁ、みんな一緒でもいいかな。
「私が決めるテーマでいい人は、誰でも、仲間に入っていいよ~」
夏休みになったら、闇神殿前のあずまやでやるからと、待ち合わせを決めて、いったん解散した。
予定よりも参加人数が多くなっちゃったから、テーマと進め方を少し考え直すつもりよ。
「デゼル、何をしたいの?」
二人になると、サイファがすごく不思議そうに聞いてきた。
「トランスサタニアン帝国の第二皇子ネプチューンに会うために、何ができるか、サイファ様とジャイロには、一緒に考えて欲しいの。みんなには、水神様へのお願い事を」
今、マリベル様にお願いして、水神の加護を授かったのは公子様にできないか、動いてみてもらっているところなの。
私はそうでなくても闇巫女だから、あんまり、私ばかり力を持っていると知られて、祭り上げられたくないの。
かといって、水神の力を隠すなんてもったいないもの。
三人寄れば文殊の知恵。
一人で考えるより、みんなで考えた方が、きっと、いいと思うの。
夏休みの自由研究だから、みんなのお兄さんやお姉さん、お父さんやお母さん、おじいさんやおばあさんにも手伝ってもらって、水神の加護でみんなが幸せになるために、どんな方法を取ればいいか、一緒に、考えてもらおうと思って。
私が考えたんじゃ、雨乞いとか、嵐や津波からみんなを守るようなことしか思いつかないけど、もっと、方法はあると思うのね。
お願い事の方針が決まったら、模型みたいなものや発表用の調査資料まで準備すれば、『みんなの自由研究』になるよね。
あと、そんな場合じゃないんだけど。
マリアって、ジャイロのことが好きなのかな?
だって、ジャイロが参加するなら、マリアも参加するっていうのよ。
だから、私に絡むとか?
そうだったら、協力してあげるのになぁ。他人様のコイバナは蜜の味よ。ふふふ。






