第15話 聖女の杖と四元の選択
カーペンター姉弟との合流は、ユリシーズが来春、中学校を卒業するのを待つことになった。
それとは別に、ジャイロが時々、公国正規軍での戦闘訓練に参加することになったの。ジャイロ本人が参加したがったから。
それから、さらに半月ほどが過ぎた頃。
『聖女の杖』の探索に出てもらっていた人達が、見事、聖杖を手に入れて戻ってきたの。
みんな、すごく興奮してた。
てっきり、ヒロイン専用だと思っていたけど、無事、装備もできた。
ヒロインじゃなくても、聖女なら誰でもよかったのね。
聖杖を持って部屋に戻ると、何が起きるか、私はさっそく試してみた。
「聖女の杖よ、その力を現したまえ」
私が杖に祈りながら一振りすると、やわらかな聖光が広い部屋に降り注ぎ、その光の中から四つの人影が姿を現して、そのうちの一人、真紅の髪の長身の男性が進み出てきたの。
たぶん、神様だって、雰囲気で感じた。
そもそも、四人とも、足が地についていなかったし。
「よぉ、俺は軍神マルス。聖女の杖を手に入れたデゼルに、取っておきのご褒美だ。俺達、四元を司る神の一人から、祝福を授けてやろう。俺が司るのは炎だ。俺の祝福を授かれば、トランスサタニアン帝国軍をデゼル一人で焼き払うことも可能だぜ? もう、三年後のオプスキュリテ公国滅亡の心配はいらないってことだ」
私は絶句して、軍神マルスを見た。
軍隊を丸ごと焼き払うなんて、そんなこと、絶対にできないよ。
ゲームをクリアする頃に手に入れるべき聖杖だからか、いきなり、ゲームバランスが崩壊するような話で驚いたけど。
あ。
もちろん、『星空のロマンス』でヒロインが聖杖を手に入れた時には、こんなイベントは起こらないよ。
「そっちから風神、水神、大地母神だ。さぁ、誰を選ぶ? 俺がオススメだぜ?」
「わかりました、では――」
私はオプスキュリテ公国の滅亡を、その前に、ネプチューンを帝位に就ける形で阻止するつもりなの。
公国が滅亡する前にネプチューンが闇の十二使徒を従え、トランスサタニアン帝国の帝位に就いてしまえば、シナリオ上、オプスキュリテ公国が滅亡する必要はなくなるはず。
そのためには、一日もはやく、ネプチューンに会えなければ始まらない。
必要なのは、交渉のカード――






