【Side】 エリス ~最高に悲惨な慟哭に胸がときめくわ~
「いやぁあああああ!!! サイファ! エトランジュ!!」
ああ、デゼル、最高よ。
その悲哀、その絶望!
そう、主神なんかに騙されたあなたがサイファとエトランジュを殺したのよ? 馬鹿ねぇ?
そう言って、煽ってあげられないのが残念だけど、ゾクゾクしちゃう。
とっても、心地よい魂の慟哭だわ。
素敵よ、デゼル。
“ 三つの願いも、災禍と同じだったの……!? ”
そう、同じよ?
どうせ生贄が必要なら、どうでもいい他人が知らないところで犠牲になってくれる災禍の方が優秀でしょ?
主神に願いをかけるための生贄に選ばれるのは、最愛の人間なのよ。
主神に願いをかけようなんて、するものじゃないわ。願いは災厄の女神エリスにかければいいの。
ねぇ、デゼルもよく、わかったでしょ?
「神様、願いはありません。何も叶わなくていい、サイファとエトランジュを返して! お願い!!」
あはははは!!!
馬鹿ね! あなたってホントに馬鹿ね!
主神は返してくれないわよッ!
主神はね、あなたの魂を八つ裂きにするために、わざとやってるんだから。
願いはないの?
何も叶わなくていいの?
それじゃ、無駄にマワされて穢され尽くしただけ?
ほんとは、やっぱり気持ちよかったの?
ああ、デゼルの慟哭に胸が躍るわ。
なんて深い悲しみかしら。
なんて悲惨な絶望と後悔かしら。
拭っても拭っても、まだ涙が落ちるのね。
デゼルったら、そこまでサイファを愛していたのね。可哀相に。
可愛いわよ、デゼル。
あたしの胸をときめかせるほど。
こんなに魅力的で可愛いデゼルを、あたし、放っておけない。この後、もっと苛めてあげなくちゃ。
せっかくの闇主軍団をただの人間に戻してしまうなんてもったいないもの。
魅了を解いて、やつらが投獄されているところに飛ばしてあげましょうね。
もう一度、たっぷりマワしてもらいなさいね?
サイファを忘れさせてあげる。あたしって優しい。
それにしても、デゼルったら、どんな願いをかけるかしら。
これだけ愛していたサイファを殺めた主神が憎いわね? うらみ骨髄よね? どれほど凄惨な呪いの言葉を吐いてくれるかしら?
ま、叶わないんだけど。
死の神の承認を得ない限り、願いをかければ神々の祝福を失うだけで、叶いはしないのよ。
サイファとエトランジュの亡骸にすがりついて泣き叫んでるデゼルが、主神の望む、主神が理想とする世界の実現なんて願うものですか。
でも、それを願わなきゃ、死の神の承認は得られないの。
最初から無理ゲーなのよ。
主神には最初から、人の子の下らない願いを叶えるつもりなんてないの。デゼルは単に、その悲鳴と慟哭を、神々の見世物にされるために選ばれた生贄よ。
「――願いをかけます。世界から、すべての呪いと悪意が拭い去られ、世界が二度と、それらに侵されることのないように」
ちょっと! 何よそれ!?
危ないわね、一歩、間違えたらタナトスの承認が下りたじゃないの。
その願い、デゼルに何かいいことあるの!?
あなただけはもう絶対に救われないのに、その他大勢の幸せを願うとか、世界で一番、悲惨な女になっていいわけ!?
他にも、あなたと同じくらい悲惨な目に遭う誰かに存在して欲しいはずよ! それが人間のサガよ!!
「――願いをかけます」
ちょっと、デゼル!
なんで、この期に及んで主神を肯定的に分析してるの!?
凄いのはあなたで、主神じゃないでしょ!
百万人を救ったのはあなたで、主神は見てただけよ!!
願いの枠は余っているって、そんな理由で、サイファを殺めた主神の開運を願おうなんて、なにそれ、ちょっとやめなさいよ、デゼルちょっと馬鹿なの死ぬの!?
「神様のご開運を。神様の願いがすべて叶い、神様の望む理想の世界が、すべての生命に幸いをもたらすものでありますことを」
――あり得ない!!
ルシフェルも愕然としているわよ。
「さぁ、約束通り出て行ってもらおうか」
主神が嬉々として、戻ってきやがった。
【次回予告】 主神 ~さあ、ご褒美の時間だ~
危ない、危ない。
ま、デゼルが私の願いがすべて叶うようにと願ったからね。
私が待てと願ったからには、デゼルは待つしかないんだ。
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【ご感想】羽海様より
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どこまでも酷いですね。最愛の人が必ず生贄になるなんて。
考えた人の人間性が疑われます。(神でした)
楽しそうなエリスも何なのでしょうね。どうしてそこまでデゼルを苦しめたがるのでしょう。ルシフェルのためというには度が過ぎているようですが。
☆ 返信 ☆
そうなんです、神でした。
サイファ編のクライマックス、死の神が司る力の真骨頂が明らかになると、さいふぁ様とじゅ。が生贄に選ばれた意味も、死の神が必ず最後の試練を司る意味も、これ以上なく美しい説得力を持って響くのですが。
デゼル視点だとひたすら残酷な話なので、主神の株が暴落しそうですね…。
哀れ主神。
エリス様はあくまで悪魔(邪神)なのです。 ← 比喩にあらず。
デゼるんの信仰が篤いからこそ、あらゆる手を尽くして、その信仰を砕きたいみたいです。さいふぁ様とその邪神キラーの血を色濃く受け継いだじゅ。になるともはや、強すぎて悪魔の囁きも呪いもまるきり通用しないため、この二人よりは崩しやすそうなデゼるんを狙うみたいです。
点目のじじ様に言わせれば、さいふぁ様には『ツッコミリフレク』という隠しスキルがあるため、さいふぁ様に邪神が攻撃するとすべて跳ね返されて自ら深刻なダメージを蓄積してしまうのみなのだとか。
怖いですね、恐ろしいですね!(邪神にとって)
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【ご感想】しき様より
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前回【願いの枠が余ったので】のエリス様視点ですね…!
エリス様の考え方が分かりやすく、個人的に興味深い回でした。
ここのエリス様の驚きは若干共感出来るんですよね…
この状況で尚、神様を信仰出来る人間ってそうそういない気がします。
エリス様の「死の神の承認を得ない限り、願いをかければ神々の祝福を失うだけで、叶いはしないのよ。」という台詞に少し複雑な気持ちになってしまいました。
もしかして、今までそうなった方居たのかなぁと…(そもそも全ての承認を集める事自体が大変困難な事なので、そこまでいった方がいらっしゃらないかもしれませんが)
☆ 返信 ☆
興味深くお読み頂いたとのこと、何よりです♪(*´∇`*)
三つの願いが叶うとしたら、願いのひとつとして「無限に願いが叶いますように」と願うみたいな話は、たまに見かけるのですが。
願いのひとつとして「神様の願いが無限に叶いますように」と願うなんて話は、少なくとも私は、見たことも聞いたこともないので書きました。
神様に感謝してしかるべき状況でさえ、それを願わない人がほとんどなのに、この状況でそれを願えとか無理ゲーにも程があるぞって、ルシ様もエリス様も友神達もみんな、このゲーム、クリアできる人間がいるとは思っていませんでした。
(実は、ルシ様の方も主神に全然違う賭けをもちかけていて、ルシ様の賭けについては、サイファ編で明らかになるのですが、つまり、サイファ編には幻のルシ様視点が…! さいふぁ様のお母さん視点もあります♪)
しき様は優しいなぁ。
『第137話 主神 ~災厄の邪神に褒めちぎられました~』で、主神が「十二霊の承認をそろえることに成功したのは、創世以来、デゼルが初めて」だと言っていましたので、「今までそうなった」人はいないということなので、ご安心下さい(*´∇`*)
すごく厳しい最終試練ですが、そこに至るまでの選抜の厳しさこそは、挑戦者のためなのかもしれません。
信仰が半端な挑戦者が最終試練に辿りついて、そうなってしまわないように。
主神は優しく思慮深い神様なので、そこまで考えてゲームを組まれているようです。






