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第93話 あなたと初めて出会った場所で

 公国のみんなのために、モードチェンジでできそうなことは、みんなした。

 闇主たちもレーテーで解放して、いったん投獄した。

 強盗や殺人をなりわいにしていた、ならず者達だもの。私が死んでしまって、野放しの状態で魅了が解けると危ないから。

 だけど、私が無事に願いを叶えてもらえたら、自由にしてあげるね。

 もう、彼らは十分に償ったもの。

 魔物に変えられてしまった三千人もの人達を元に戻すために、命を懸けて働き続けたんだもの。

 たとえ、その償いが、己の意志ではなかったとしても。



“ デゼル、駄目よ! 今すぐ、リタイアして! デゼルじゃ絶対、続けたら後悔する! ”


 京奈、心配してくれてありがとう。

 でも私、後悔しない。

 私がどんな目に遭わされたとしても、サイファとエトランジュを救いたいの。

 サイファの左目と右腕を、癒して頂きたいの。


 神様に助けて頂けない時には、私はいなくなった方がいいの。

 だって私は、悪役令嬢デゼル。

 サイファとエトランジュが、もう、みんなの悪意にさらされないように。


 悪役令嬢デゼルは、モブリーダーを解放するため、最後、崖から身を投げて終わるの。


 それが、シナリオだもの。

 それで、いいのよ。



  **――*――**



「なんだか、今日はおかしな空の色だね」


 十三日目の朝、窓を開けに立ったサイファが空を見て、気味悪そうに言ったの。

 本当に、おかしな空の色だった。

 エトランジュに授乳して、私達もかんたんな朝食を食べた。


「サイファ様、今日ね、行きたいところがあるの」

「どこ?」


 サイファと初めて会った公園に。

 今日が最後なら。

 始まりの場所で、サイファの腕の中で、終わりたいと思ったの。



  **――*――**



「サイファ様、覚えてる?」


 私が聞いたら、サイファがすごく嬉しそうに笑ったの。


「デゼル、すごいね。まだ、たった六歳だったデゼルが、この場所を覚えてるなんて思わなかった。僕はもちろん、覚えてるよ?」


 初めて会ったのは、十年と少し前。

 サイファは九歳だったの。

 懐かしそうに公園の景色を眺めたサイファが私をふり向いた。


「この公園はね、僕がとても可愛らしくて優しい、月の妖精(フェアリー)に出会った場所なんだ。怪我(けが)をして、一人で薬草を摘んでいたら、どうしたのって、夢みたいに綺麗な女の子が僕を見てた。銀色の髪が風に舞って、蒼穹(そうきゅう)を映す湖みたいな蒼の瞳が僕を見詰めて、すごく印象的だったんだ。――デゼルには、どう見えていたの?」

「あのね」


 私はふふっと笑った。


「どうしたの? って思ったの」

「うわぁ、そのまんまだね」

「また会いたくて、何度も、神殿を抜け出してみたけど、あんまり、会えなかったの」


 サイファが驚いた顔をした後、優しくキスしてくれた。



 急に、ひやりとする風が吹いて、昼間のはずなのに陽がかげってきて、背筋がゾクッと凍りついたの。

 皆既(かいき)日食――!?


「なんだろう……」


 私と同じように空を見上げたサイファが、不吉そうに眉をひそめた。


=====================

 ゲームをリタイアしますか?

 ≪はい/いいえ≫

=====================


 また!

 なんだか、胸がどきどきするけど、私、リタイアしない。

 サイファの目と腕を癒してもらうのよ。


 ≪いいえ≫


 暗雲がたれ込めた(くら)い空から、漆黒の衣をまとった骸骨が降ってきたのは、その直後だった。

 怖すぎると、悲鳴も出ないのね。

 私は片腕でエトランジュを庇うように抱いて、もう片方の手で、サイファの闇主の礼装の袖を握り締めた。

★☆ ============ ☆★

 【ご感想】羽海様より

★☆ ============ ☆★


一番大切な場所に戻ってこられた二人が幸せそう。サイファ様の例え方もとてもロマンチックです。デゼルとサイファの心が真実に通じたみたいです。ずっと両思いだったことに気づいて。

でも骸骨の神様……!?

とてもいやな予感が…


☆ 返信 ☆

ありがとうございます(*´∇`*)

さいふぁ様がプロポーズして、デゼるんがOKしたあの日から、

二人とも、両想いだったのは知ってます♡

ただ、気持ちは変わるって、

さいふぁ様はお母さんをはじめ周りの大人に言われてきたし、

デゼるんは現世でそれを経験していたから、

二人が始まりの場所で確かめあったのは、両想いだと知った日から今日まで、もう十年が経ったけど、気持ちが変わることはなかったことかもしれません。


それなのに、怖い神様が降ってきてしまいました…

№13で骸骨といえば、とてもいやな予感しかしないカードですね…



★☆ ============ ☆★

 【ご感想】しき様より

★☆ ============ ☆★


三章の後半に差し掛かりクリア目前になってからデゼルさんは欲が出せるようになったなと思います。(良い意味です!!!)

今まではどんな体験をしても、「このままでいい。今が十分幸せだから。」といったようなスタンスだった様に感じたのですが、「サイファ様を幸せにしたい!」が全面に現れるようになりましたね。

素敵な事だと思うのですが、なんだか不穏な気配がするぞ…


サイファ様、ここでデゼルさんが出逢った直後からサイファ様に会いたがっていた事を知りましたね!

驚いてる半面、嬉しさもあるんじゃないかなと思ってしまう…


☆ 返信 ☆

Σ( ゜Д゜)

デゼるんのスタンスは変わっていないのですが、

これまではさいふぁ様とじゅ。の幸せより、闇の聖女デゼルとしての使命を優先していたのが、

星ロマをクリアしたことで、さいふぁ様とじゅ。の幸せより優先しないとならないことがなくなって、

デゼるん本来の望みが前に出てきた感じでしょうか。


闇の聖女としての使命も、さいふぁ様とじゅ。が平和に幸せに暮らせる世界を望んで頑張っていたことなので、デゼるんにとっては同じことだとしても。

外側から見ていると印象が違うのかもしれないですね。


さいふぁ様はもちろん、嬉しいって思っています!ヾ(´∀`*)ノ

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