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【Side】 主神 ~災厄の邪神に褒めちぎられました~

「主神、マジでやるんですか」


 マルスが眉をひそめて私を見た。

 そういう目で見るのやめてくんない! 私だって、胸がズキズキするんだよ。


「――やるよ、そういうルールだ」

「さっきの『リタイアしますか?』って、姑息(こそく)なアリバイづくりなんじゃ……」

「は!?」

「最後の神の祝福がどういうものかわかっていたら、デゼルが確実にリタイアするのを承知で、教えずに続けさせて、『望んだのはデゼルだから』って言うわけでしょ」

「姑息」

「姑息」


 ちょっと!!

 みんなして!!


「あんな、主神に感謝してるデゼルを見て、胸が痛んだりしないんですか。ここまでだって、デゼルは酷い目にしか遭ってないと思うんですがね。よく、感謝できるもんだ」

「それは……」


 ちょっと、やめてくんない!

 神様、泣きそうになる!!


 十二霊の承認をそろえることに成功したのは、創世以来、デゼルが初めてなのに、ここまできて、やめるわけにいかないから!!


「最後までやらなきゃいかんわけって、よーするに意地なんでしょ? 『浅ましく愚かな人間どもが、己を優しく甘やかしてくれる神に感謝して愛するのは当たり前。そんなの愛じゃない』って、創世の神代にルシフェル様からケンカを売られて、『どんな酷い目に遭わされたって、神を愛し敬うことをやめない人間もいるんだ。おまえみたいに愛を強いなくても』って、ケンカを買った。で、それを証明するために、デゼルの魂をズタズタに引き裂いて、あの子にそれでも、あなたを愛していると言わせると」


 ちょっと、そういう言い方やめてくんない!

 なんだかそれじゃ、私がドSの鬼畜みたいじゃん!

 いや、その通りなんだけど!!


「ケンカを買ってから、何万年、経ったんですか。そんなこと、今なお、証明しないとならんのですか」

「神に二言はない!」


 うわっ。

 なに、なに!?

 友神たちの目がッ! みんなしてジト目ッ!?


「デゼル、あんなに喜んでるのに……」

「デゼル、主神なんかに、ばりばりに感謝してンのになァ」


 私が編集してあげた思い出のアルバムを見ながら、感動のあまり泣いているデゼルを眺めて、レーテーと風神(エンリル)が言う。


「と、にかく! 神に二言はないの!」

「よく言ったわ、最高よ、主神♪」


 一人、手を叩いて喜んでるのはエリス。

 腹抱えて爆笑してる。


「ああ、早く見たいわ。十三日後が待ち遠しくてたまらない。デゼルが心から愛し、信じ、感動して泣くほど敬っちゃってる主神が、あたしなんか足元にも及ばない外道だと知った時のデゼルの可愛らし~い泣き顔を♪ あたし、早く見たいなァ♪ ゾクゾクしちゃう」

「外道ってね、キミ」

「だって、そーじゃない。デゼルをマワさせたのだって主神よ? あたしがそういう神だと承知の上で、十三霊の中に配置したのは誰よ、主神よ? 主神が十三日ルールなんてつくって、あたしがやりたい放題にデゼルを苛められるようにしたから、デゼルはああいう目に遭ったんじゃない」


 いやまぁ、その通りなんだけど。


「デゼルはそれを、もうすぐ、思い知るわけよね。うふふ。たっのしみだなァ♪ デゼルが三つの願いをかけた時、タナトスの承認が下りる前にメティスの承認が取り消され、あの子の願いはひとつも叶わない。あの子に残るのは穢され尽くした汚物のあの子自身だけ。神々からの祝福はすべて失われ、終わりのない嘲笑と中傷の石つぶてを死ぬまで投げつけられながら、誰からも(さげす)まれ()み嫌われながら、主神を呪って、苦しみ抜いて死んでいくんだろうなァ♪ あたし、絶望に染まった魂の色って、美しくて大好き、胸がときめくわ」

「それは、デゼルが負けた時の話だ」

「負けるに決まってるじゃない。愛しのサイファ様を主神に殺されたデゼルが、それでも主神に心からの敬愛を示す? あり得ないわねッ! きゃははッ!」

「――あるよ」


 エリスがにたぁっと(わら)った。


「本当にそう思うなら、『リタイアしますか?』って、あれなぁに? わかってるんでしょ、サイファを失えばデゼルには何もできない。あの子、一人で闘うには(もろ)すぎるのよ。主神は知っていてデゼルを破滅させるの、もっとも残酷なやり方でね! ルシフェルでさえ、ここまで徹底的に、一人の少女を破壊し尽くす見世物(ショー)なんて企画できないわ。だから、ルシフェルは主神を愛してしまうの、その冷酷さ、刺・激・的♪ 今、主神ったら、とっても素敵よ」

「……」



 ……。……。……。


 あるよ。


 私は、デゼルなら勝てるって、信じてる。

 ねぇ、あるよね。

 そうだろう、デゼル?

★☆ ============ ☆★

 【ご感想】しき様より

★☆ ============ ☆★


神の祝福ってそんなに危ないものなのでしょうか…!?

何だ何だ何が起ころうとしているんだ??!!?


「十二霊の承認をそろえることに成功したのは、創世以来、デゼルが初めてなのに-----」と主神様が仰られていましたが、という事はかなりの方がこのゲームに挑戦した事あるんですか…! モチーフに選ばれた星ロマすごい…!!


あのエンディングの編集は主神様でしたか!!

素晴らしいです、乙女の心を理解されている主神様かっこいいです!b


後半にタナトスって書いてあってドキッとしました。

タナトスさんは確か死神とかだった気が……


☆ 返信 ☆

タナトス様の祝福はたいへんです!

十三霊の神々の中でも、最も、偉大な力を持った神霊です。

サイファ編のクライマックスまで読まないと、タナトス様の祝福が何を意味したのかは語られないのですが。

そこに至るまでに、最後の祝福の真の意味に気がつく読者様、いらっしゃるかなぁ。楽しみです♪(*´∇`*)


主神とルシフェル様のゲームの舞台に星ロマ世界が選ばれたのはこれが最初で最後なのですが、デゼるんが転生前に既にメティス様の祝福と承認を得ていたように、現世でも、だいたい同じルールでのゲームが、創世からずっと続けられていました。

それについては、もう誰も覚えていないと思われますが、『第3話 神様との出会い』から『第4話 主神 ~神の力を授かるべきは~』にかけて、転生時の交渉で示唆されています。

試される者を主神が直々に選んだのも、今回が最初で最後という、いろいろと、これまでとは違うことの多いゲームでしたが、ゲームの難易度そのものに、現世で行われていたものとの大きな違いはありません。

十二霊の承認をそろえたのはデゼるんが初ということですが、過去にある程度の承認をそろえた人々は、片端からエリス様に撃沈されて、誰も、魔の十三日間を突破できなかったのでした。

京奈ちゃんもエリス様に撃沈された一人なわけですが、ユースティティア様の承認の取り消し条件に『災禍の行使』が含まれるもので、「私が力を貸せば、死病に侵されたあなたの可愛い子供だって助けてあげられるのよ? 他の方法では助けてあげられない。赤の他人が二、三人、あなたが断罪されることにはならない形で犠牲になるけど、どうでもいいわよね?」みたいな悪魔のささやきに、愛する我が子の命を救いたいばかりにうなずいてしまったら、ゲームオーバーという厳しさ。

さらには風神の承認条件の理不尽。

ナイトメアモードでなくても、たいがい、超高難易度のゲームなのでした。


ふだんの主神は二十代後半あたりの男神の姿を取っていますが、何なら女神にもなれますので、乙女心を理解するくらいは朝飯前です♪(*´∇`*)b

(主神はどんな姿にも性別にも年齢にもなれるのでした)

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