表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
125/176

第81話 悪役令嬢は風神の巫女を装う

「綺麗よ、デゼル」


 ユリシーズから、風神の巫女の名を借りることにして、白を基調に翠のアクセントが入った軽やかな聖衣をまとったら、ユリシーズがそう言って褒めてくれたの。

 サイファも闇主の黒衣じゃなくて、薄い青紫を基調に銀糸の装飾が入った礼装よ。

 爽やかな風合いの礼装をまとったサイファが素敵すぎて、私、めまいがしそう。


「わぁ、デゼル、すごく可愛い。綺麗だよ」

「嬉しい。サイファ様も、すごく素敵だよ。私、淡い色彩の衣装の方が好きみたい」


 そうしたら、苦笑したユリシーズが言ったの。


「本来なら、あなたが風神の巫女なのよ? 風の聖女の称号、あなたに返上しましょうか?」

「ううん、私は闇巫女デゼルでいいの。でも、サイファ様が気に入って下さるなら、闇巫女の礼装も、こういう色合いにしたら駄目かなぁ」


 闇巫女の礼装は夜闇の蒼。

 闇主の礼装は黒衣に金糸と銀糸の装飾が入ったもので、それはそれで素敵なんだけど。


 あのね。

 京奈と会って、災禍の状態異常になってしまっている人達を助けるために、風の聖女として祝福を与えて回ることにしたの。

 闇巫女デゼルが与える祝福じゃ、あまり、喜ばれないから。

 災禍のことは誰にも言わない。

 たぶん、京奈に会いたがったような人達は、風の聖女にも会いたがると思うのよ。

 風の聖女ユリシーズの名前は知られているけど、顔まではみんな知らないから。


「ふふ、困ってしまうわね。あなたに名を(かた)られたら、私がますます絶世の美女として名を馳せてしまうわ?」

「ユリシーズ、いつも、本当にありがとう。行ってくるね」



  **――*――**



 私とサイファはまず、山賊に襲われた村に向かった。

 そうしたら、村の人達が、随分たくさん、墓地に集まっていたの。


「山賊も闇主も京奈たちが倒したはずなのに、どうして!?」

「村の人達に聞いてみよう」


 私達は早足で、墓地に向かったの。


「あの、何があったんですか?」

「この村は呪われてしまったとしか思えないよ。二日前、悪名高い闇巫女デゼルとそのしもべの闇主たちが現れてね。それ以来、続々と死者が出るんだ。あんたは旅人かい? 綺麗なお嬢さん、こんな村はすぐに出て行った方が身のためだよ」


 震えそうになる私の肩を、サイファがしっかりと抱いて支えてくれた。

 私はサイファに頭をもたせると、サイファだけに聞こえるように(ささや)いたの。


「ごめんね、サイファ様。悪名高い闇巫女の闇主で、本当にごめんなさい」

「デゼル、僕なら、平気だから」


 サイファも、私の耳元にそっと囁いてくれた。

 つらいけど、急ごう。

 もう、災禍の犠牲者が出てしまっているんだもの。


「みなさん、私は風の聖女ユリシーズ。この村を祝福するために訪ねました」


 何人かの村人達が、私に注目した。

 それを待って、私は風神にモードチェンジして、墓地に慰めの風花を散らしたの。

 もちろん、見ていた村人達は、すごく驚いてどよめいた。


 その時、サイファが一歩、前に進み出たの。


「この村を呪ったのは、僕達の友人デゼルではありません。デゼルこそは、この村が呪われていると気づいて、僕達に知らせてくれたのです」


 サイファ……ありがとう……。

 さっきの、村人の話を聞いて、機転をきかせてくれたのね。

 サイファが優しくて、泣きそうになった。

 でも、泣いたらおかしいから、懸命に涙をこらえた。


「どうぞ、一人ずつ、私の祝福を受けて下さい。私には、みなさんの呪いを解く力があります」


 最初に小さな子供が寄ってきた。


「お姉ちゃんは、神様? さっきの姿も、今の姿も、とっても綺麗」

「ううん。あなたのお名前は? 私はユリシーズ」

「テオ」


 子供でよかった。

 自然に笑顔になれて、私はテオの手を取ると、レーテーをかけた。


忘却(レーテー)【Lv9】――ターゲット・テオ。風の聖女の祝福をテオに。風神よ、テオにそのご加護と幸いを」


 優しい聖光がテオを包むのを見て、見ていた村人たちが、感嘆の声を、次には歓声をあげたの。

 それからは、続々と村人達が押し寄せて、文字通りの長蛇の列。

 不幸が続いて、それだけみんな、怖かったのね。


 すべての村人に祝福を与え終えたのは、村がすっかり、夜闇に包まれる頃だった。


「大丈夫、デゼル?」

「うん、疲れたけど、デゼルとして動く時よりは、ずっとラクだよ。サイファ様も、最後までありがとう」


 きっと、村人達が私に向ける感情が、感謝と好意だから。


 キンコーン


==============================

 闇巫女デゼルが127名の村人を災禍から解放しました。

 闇巫女デゼルに風神の承認が与えられました。

==============================


 127名!?


 まさか、初日で承認を授かると思わなかった。

 祝福を与えた村人は、300人は下らない。

 だけど、この村だけで、そんなに大勢に災禍が降りかかっていたの!?


「サイファ様、たいへん……! はやく京奈を止めなくちゃ」

「うん、だけど今日は、食事をしてやすまないと駄目だよ、デゼル」


 言われたそばからお腹が鳴って、私が赤くなると、サイファがクスっと笑ったの。

 ほとんど、飲まず食わずで早朝から深夜まで祝福していたから。

★☆ ―――――――― ☆★

 【ご感想】羽海様より

★☆ ―――――――― ☆★


デゼルには白も似合いそうですよね!

ユリシーズにも蒼の衣装が似合いそう。

デゼルは人の悪意に弱いので、自分の名前や存在を犠牲にするのは、彼女にとって特によくないことだと思うのですが…


☆ 返信 ☆

ありがとうございます♪

デゼるんは天空のアクアマリン、湖のコバルト、雪の聖白みたいなロウカラーが好きで、ユリシーズは漆黒の闇(黒)とか紅蓮の炎(深紅)とか絶対零度(蒼)みたいなカオスカラーが好きなので、礼装の色は、逆の方がデゼるんもユリシーズも嬉しかったみたいです。

そして、まったくもって、闇巫女デゼルの名や存在が犠牲になっているのはデゼるんにとって深刻につらいことなのですが、こればかりは自ら進んで犠牲にしたことでもなく… 邪神チート恐るべし。



★☆ ―――――――― ☆★

 【ご感想】しき様より

★☆ ―――――――― ☆★


デゼルさんとサイファ様の風神衣装見たいです!

普段の衣装も巫女さんの高潔さと落ち着く闇を感じさせる素敵な衣装ですが、

白もきっと似合うだろうなと感じます。


ユリシーズさんのお世辞ではなく、思った事を口にしている感覚が仲の良さを感じさせてこちらまでニコニコしてしまいます。


世間から悪い=デゼルさんと思われているのが、心苦しいですね…

こういう時に落ち着いてしっかり言いたい事を伝えられるサイファ様がデゼルさんの近くにいて良かったなと思います。


☆ 返信 ☆

ありがとうございます♪

私もデゼるんとさいふぁ様の風神衣装、絵師様に描いてもらいたかったです!(笑)

↑他力本願


ユリシーズにとっては、デゼるんはさいふぁ様とセットでもスキだらけ、頼りないすぐ泣くしょーがない妹分なので、割と言いたい放題です。笑。

そのユリシーズの方は、デゼるんにとってもさいふぁ様にとっても、もちろん、じゃいにとっても、頼りになる優しいお姉さんとして、なにげに周りのみんなに、すごく慕われていたりします。


助けにきた相手からの悪意に迎えられても、理不尽な仕打ちに対する不満や怒りの感情を露わにするのでなく、落ち着いた語り口で、それでいて、必要なことはしっかり伝えるさいふぁ様。

そんなさいふぁ様が傍にいてくれて、デゼるんがどんなに心を救われ、支えられているか――

よくぞ気がついて下さいました、としか言えないさりげない演出に、目をとめて頂けて嬉しいです。ありがとうございます♪(∩´∀`)∩

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ