【Side】 主神 ~悪魔なんてものは~
「はぁ~……」
京奈の結論に、私はとても疲れた気持ちだよ。
まぁね。
悪魔なんてものはね。
崇拝者には親切なものだよ。
そうでなきゃ、誰も悪魔を崇拝したりはしないからね。
「そういや主神、雪乃はなんでひきこもったんですかね?」
同じく京奈を眺めていたマルスが聞いてきた。
私達は神だからね。私達の『眺める』は、心の中までお見通し。
「同じことなんだよねぇ」
「は?」
「こっちでも、天界ひきこもりじゃないか。デゼルは、その身に受ける嘲笑と中傷にサイファを巻き込んでしまったことを気にして、こっちでも、天界にひきこもってしまって。――現世の方はね、殺人の冤罪」
「そりゃ、また」
マルスも沈痛な面持ちで天を仰ぐ。
雪乃ってちょっとね。
なんていうか、純真無垢が行き過ぎてるっていうか、あれじゃ無理だよね、世渡り。
「雪乃の願いは、だから、世界から悪意が拭い去られることなんだよね。雪乃が受ける迫害に、親類縁者を巻き込みたくないんだ」
「なんでまた。冤罪なら、晴らせばいいでしょーに」
「それができれば苦労はないよ。人間は他者の心を見通す能力をあらかた失って久しいからね。雪乃に限らず、冤罪での私刑も処刑も日常茶飯事だ。証拠もなしに雪乃がやったと憶測して、噂をバラまいて、反撃されない安全圏から、攻撃の意志もすべも持たない雪乃を火達磨にしたような連中のやり口は、見ていて胸が悪くなったけど――そんな話は世界中に転がっているし。デゼルが淫売の魔女と蔑まれ、世紀の悪女として、歴史に悪名を残してしまっているのと同じことだろう? 世界から悪意がなくなればいいとは、なかなかどうして、よく考えられた願いだよ。雪乃は彼女だけでなく、同じ境遇にあるすべての人々を救いたいんだ」
「あ~……」
だけどね、雪乃。
神様は見ていたんだよ。
雪乃の清らかな祈りを、神様は知っていたんだよ。
だから、雪乃のひきこもりライフは平和な楽園だったろう?
「私は」
「はい?」
友神や雪乃ばかり可愛がる私は。
「私が君達や雪乃ばかり可愛がって、エリスを可愛いと思えないのは、自愛なんだろうか」
「そりゃ、まぁ……俺だってエリスを可愛いとは思えませんが、あなたにあらかじめ、そう創造られてるならねぇ。まぁ、創造られた感情だとしても、俺はあなたに創造られてよかったと思ってますがね」
「そんな感情まで、創造ってはいないよ」
なぜだか、マルスがニヤリと笑った。
「じゃあ、もう少し嬉しそうな顔をしたらどうですか」
そうか。
そうだよね。
私は素直に、もう少し嬉しそうな顔をすることにした。
★☆ ============ ☆★
【ご感想】羽海様より
★☆ ============ ☆★
崇拝者に優しいなら、悪魔を崇拝する人がもっともっと多くても不思議ではないのでは? と思いました。
言うとおりにしたら何でも思い通りに排除してくれますし、蹴落としてくれますし。
現世にはたくさん悪魔に魅入られる人がいそうです。
かくいう私も、きっとエリス様に騙されてしまいますね…
その点雪乃は本当に、現実にはありえない、現実向きでないいい子ですよね。
☆ 返信 ☆
悪魔は『悪魔をより崇拝するあなたの敵』の願いも叶えますよ…!
あなた以上に悪魔を崇拝する誰かがあなたの敵であれば、排除され蹴落とされるのはあなたなのです…!(; ・`д・´)
現世で悪魔崇拝者に排除され蹴落とされた雪乃は、人類が悪魔を崇拝する限り、平和も幸福も長続きしないと悟った、智慧の女神メティスの申し子です。
悪魔を崇拝しても、彼女自身を含め誰一人幸せになれないと、真理を知るがゆえに雪乃が悪魔のささやきに惑わされることはなく。
昨日も一昨日もさいふぁ様とデートしたのに、今日もデートしたいデゼるん、よくよく読むと、人並み(以上?)にわがままです。笑。
現実的にはそこまでメカニズムを見通せなくても、身近に自分より悪魔崇拝者な他人がいて、その他人に自分の人生や大切なものを踏みにじられれば、悪魔のこと大嫌いになる人が多いかなって。
ざまぁ系が流行ってますし、悪いのは悪魔ではなく悪魔崇拝者であると考えて、悪魔を味方につけて悪魔崇拝者に復讐したいと考える人が多そうなのは、残念ですけれども。(自分なら悪魔の力を『よい行い』のために使えると思い上がって、本人だけが、悪魔を崇拝したことで憎む悪魔崇拝者と同じ穴のムジナになりさがったことに気がつかないやつ…)
現世はほんとに、悪魔に魅入られた人であふれてしまって、たくさんの不幸や悲劇が世界を日々、蝕んでいますよね…
(´・ω・`)
★☆ ============== ☆★
【ご感想】霜月一三様より
★☆ ============== ☆★
第1話 闇巫女デゼル
https://www.alphapolis.co.jp/novel/153000069/971438146/episode/3628738
異世界転生ものとしては王道の始まり方だと思います。
ただ、「悪役」への転生と言えば「悪役令嬢」が主流の中で、「闇巫女」という立場への転生は、オリジナリティがありますね。「闇巫女」という役職名はこの小説のオリジナルでしょうか。巫女なのに悪役、というのも面白いです。
巻き込まれトリップでありながら、「ざまあ」とか「復讐」方面に物語が動かないのも、主人公の平和的な性格をよく表していると感じます。デゼルを応援したい気持ちになります。
☆ 返信 ☆
そうなんですね。
実は、異世界転生もの2~3本しか読んでないので、王道をよく知らなかったりします。
2~3本しか読んでいないうちの1本が、どう考えても乙女ゲームを知らなそうな男性が書いた、乙女ゲームを勘違いしたランキング上位作品でして。あまりにも、乙女ゲームと乙女ゲーマーの名誉を勝手な思い込みで不当に棄損している内容だったことに腹を立て、乙女ゲームとは本当はこういうものだぞ! と主張したくなったのがこの作品を書いたきっかけです。
というわけで、『星空のロマンス』は実在の乙女ゲーム『天空のレクイエム』をかなり意識した内容です。
闇巫女の方は、古参の乙女ゲーマーなら知らないとは言わせない、ルビーパーティ様主催の『遥かなる時の中で』に登場する黒龍の巫女・蘭を意識しています。見た目については蘭というより藤姫ですが。
乙女ゲームの悪役といったら、不当な迫害によって本物の悪魔になった、最初から悪魔だったわけではない不幸な人達のケースが多いはずで、言うなれば、私の作品の展開こそが乙女ゲームとして正しい王道のはずなのです。
Web小説としての『乙女ゲーム転生』ジャンルの王道については、乙女ゲームをギャルゲーの男女逆バージョンと勘違いした愚か者さんが書いた作品を、同類の愚か者さんの群れが支持して勘違いが一気に広がったものに見えて仕方ありません…。






