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【Side】 京奈 ~女神様は親切で美しい~

「どうかしら、ケイナ? あたしのスキルは優秀でしょう?」


 誰よりも美しい女神エリスが、裏攻略情報を読みあさる私に言ったわ。


「エリス様、でも私、とんでもないことをしてしまった! 一時の感情でデゼルを殺すなんて!」

「あら、一時の感情だったの?」


 わからない。昔からだったのかしら。

 私、昔から、雪乃が嫌いだったのかしら。

 だってあの子は。

 同じひきこもりでも、私とは全然違った。

 何をやっても人並みにすらできない私が、いったい、私は何のために生まれてきたのか、いじめに遭って、何の役にも立たない自分に絶望して、震えながら暗闇の中に隠れていたのとは全然違うの。

 まだ、二人ともひきこもりじゃなかった頃に、いじめられている私を助けてくれたのが雪乃だった。

 だけど、雪乃は良家のお嬢様で、勉強なんていつも一番で、絵画コンクールとかそういうのでまで、よく、表彰されてた。

 神様は不公平よ。

 どうして、雪乃ばかりが何もかも持っているのよ。

 私には何もなかったのに。

 それなのに、いったい、何が気に入らなくて、雪乃はひきこもりになったの?

 就職だって、私なんて、どこの会社にも採用してもらえなかったのに、雪乃は苦労した様子もなく、正社員採用されていたわよ。

 それが、何があったのか知らないけど、ひきこもりに転落してきて。

 でも、全然、底辺のオーラじゃないの。

 いつも、まるで雲の上から、地の底を這うように苦しむ私を見下ろしているようだった。


 そうよ。

 この世界でだって、デゼルはそうよ!

 どうして!?

 悪役令嬢のデゼルじゃない!

 穢され尽くした汚物のくせに、あとは、私に倒されるだけの悲惨な悪役令嬢のくせに、なんで、あの子の方が聖女様みたいな顔をしているの!?


 つらいとか、悲しいとか、苦しいとか。

 どうして、そういう顔をしていないのよ!


 憎しみとか、怨嗟(えんさ)とか、嫉妬(しっと)とか。

 どうして、暗い感情にとらわれないの!?

 どうして、すべてに恵まれたヒロインに転生した私に、羨望(せんぼう)の眼差しを向けないの!? 


 何なのよ、モブにしか相手にしてもらえない、穢され尽くした悪役令嬢のくせに、あの、幸せです、満ち足りてますってオーラは!


「知らなかったのよ、真ネル・エンドなんて! デゼルから、『月齢の首飾り』と『ネプチューンの緑石』をもらわないといけなかったのに」


 凄絶に美しい女神エリスが高らかに笑ったわ。


「よかったわね、ケイナ。デゼルは死んでいないわよ? デゼルのステータスを確認してごらんなさいよ」

「え……!?」


 デゼルは確かに、生きていた。

 ふつうのシステムでは、悪役令嬢のステータスの確認なんてできないんだけど、エリス様のスキルはすごいの。


「え、なにこれ。デゼルの魅力がSSS!?」

「あぁ、それね。ネプチューンも、ユリシーズよりデゼルの色香に迷っているわよ? ネプチューンたら、もう一つ、ユリアそっくりのあなたに会えたのに情熱が足りないと思わなかった? デゼルが気になっているのよ」

「そんな!」

「大丈夫よ、ケイナ。もうすぐ、あなたにレーテーの祝福と承認が与えられる。スキルポイントを容姿端麗に振ればいいの。デゼルの容姿端麗は【Lv1】のままだもの、あなたの方が魅力的になれるわ。もちろん、ネプチューンの興味もあなたに戻るし、ユリシーズなんて、女として相手にもならなくなるわ」

「本当!? エリス様、あなたって、とても親切ね。どうしてあなたのような、親切で美しい方が災厄の邪神なの?」


 親切で美しいエリス様が胸に手を当てて微笑まれたわ。

 スタイルも抜群で、薔薇色のオーラも気品も超一級の、まさに女神様。


「十三霊の神々の中で、あたしだけが異世界の神の御使いだから仕方がないのよ。この世界の神には、あたしは気に入られていないの。たとえば、スキル一覧をよく見てごらんなさい? あたしのスキル一本で、十二霊の神々の上位スキルに匹敵するほど強力でしょう。あたしだけが、より優れた異世界の一柱の神、ルシフェル様の御使いだからよ」


 そんな、主神ったらひどいわ。

 こんなにも麗しくて優しいエリス様を、異世界の神の御使いだからって、『災厄の邪神』呼ばわりして(おとし)めるなんて。


「なにもかも、あなたの望み通りになるわよ、ケイナ。だってあなたは、この世界のヒロイン。最高の女神であるあたしに選ばれた聖女様なのだから」

「ありがとう、女神エリス。私、あなたに従うわ。どうか、私を導いて」


 それにしても、デゼルったらどうやって助かったのかしらね?

 サイファを殺したのかしら。

 そうよね、相手はただのモブ。ゲームのデゼルみたいに、モブのために命を捨てたりなんて、するわけがないわよね。

 それとも、魅了スキルで洗脳を上書きしたのかしら。魅力SSSだものね、上書きされたのかもしれない。

 だけど、もうすぐ私の魅力もSSSよ。

 そうなったらもう、デゼルのスキルでは上書きできないわ。

 今度、会った時にこそ、あなたの大切なモブリーダーに殺してもらうといいのよ。

 私に『月齢の首飾り』と『ネプチューンの緑石』を寄越してからね。

 あなたは悪役令嬢だもの、ヒロインに倒されなければならないの。


 ――あれ?

 でも、私、殺したいほど雪乃が憎かったっけ……?

 どうして、殺すべきだと感じるのかしら。


 わからない。

 でも、なんだか怖いの。

 あの子が生きていると、私、怖いのよ。

 私の大切なこの世界が、木っ端みじんに、壊されてしまうような気がするの……。

【次回予告】京奈 ~私が世界で一番あの人を愛してる~

 数日後、エリス様の予告通り、私は忘却の神レーテーの祝福と承認、それから、戦神アテナの祝福を頂いたの。

 戦神アテナの祝福はシステムメッセージだけだったけど、レーテー様はお姿を現したわ。


↓ 物語だけ楽しみたい方はこちらから ↓

https://www.alphapolis.co.jp/novel/153000069/971438146/episode/4338284



★☆ ============ ☆★

 【ご感想】羽海様より

★☆ ============ ☆★


京奈はよく雪乃と友達になれましたね…?

私だったら完璧な雪乃と友達になるのは難しいかも……

京奈は本当に普通の、よくいる子で、こちらの反応の方が一般的なのだろうとは思います。エリス様にコントロールされていなくても、雪乃を恨んでしまって仕方がないかもしれないです。


☆ 返信 ☆

えぇっ(汗)

京奈ちゃんは見下されてると感じていたけど、実際のとこ、雪乃が京奈ちゃんを見下したことはないです。

京奈ちゃんに恨まれたら悲しみ(TдT)


でも、そうかぁ。


雪乃タイプとお友達になるのは難しいのか…(´・ω・`)

私は素直に優秀な人が好きなので、デゼるんとは是非お友達になりたいです。

気に入ってもらえたらラッキー✨ヾ(´∀`*)ノ ← 何も考えてない

さいふぁ様も何も考えてないから、僕じゃデゼるんに釣り合わないんじゃないかとか、コンプレックスを感じたこと、あろうことかないそうです。

町人Sの分際で、公子様から婚約者をかっさらっておきながら!(ノ∀T)


でも確かに、周りを見てると京奈ちゃんみたいな反応の方が一般的な感じはします。

みんな引いちゃって、誰も素敵な人に声をかけないから、私が目をキラキラさせて声をかけに行くこと、結構、あったなぁ。



★☆ ============ ☆★

 【ご感想】しき様より

★☆ ============ ☆★


第49話 悪役令嬢は中学校を中退する

https://www.alphapolis.co.jp/novel/153000069/971438146/episode/3819818


ユリシーズさんが礼儀作法を学び始めたのが、恋する乙女って感じでとても可愛いです…。王子様が来るのをただ待つのではなくて、好きな人の隣に居られるように、釣り合うようになりたいという努力が感じられて好き…

頑張る乙女は可愛いです(確信)

デゼルさんはユリシーズさんが闇幽鬼Lv32になってしまったと言っていたけど、個人的には二年半で32なら比較的収まっている方なのではと思ってしまいました。(ユリシーズさんごめんなさい…)

だって一章の【隻眼の魔女は闇の皇子が恋しくてならない】で、一度にLv3からLv13に上がっていらっしゃったのですよ…?

以前に比べると精神面が少しだけ安定してきたのかなと感じました。頑張れ乙女!

あとジャイロさん!!!やっぱりお姉さん想いなところは変わっていないんだな〜と思ってちょっとほっこりしてしまいました。


サイファ様このお話で借金完済なさってて涙が出そうになりました。それにお母様に毎月12枚も金貨送っていらっしゃるのもね…

そもそもお給金の内訳が借金の返済、母への仕送り、デゼルさんの為の貯金って欲が無さ過ぎませんか…?

色々苦労なさっているからかもしれませんが、13歳…

自分の為に使っても良いんだよ。でもそういう所がサイファ様の良いところなのかもしれません。


本格的に闇落ちイベントと公国滅亡イベントが迫ってきていてデゼルさんの焦りをもろに感じました。

サイファ様やガゼル様もお告げで帝国や自分達がどうなるかは見たけれど、その他の詳細まで知っているわけでは無い。

詳細をしっているのはゲームをやり込んだ雪乃さん(と京奈さん)だけ。

でもユリアさんからヒロインさんに転生した京奈さんは年齢的にも手伝って貰うのは難しいのかなと思いました。(そもそも手伝ってくれるのかもわからないですし…)

そうするとやっぱり自分で抱え込む部分が多くなるんですよね。こんなん心が壊れてしまいますよ…心配だよ…


最後のマリアさんの気遣いが沁み渡ります。こういう事をさりげなく出来る貴女が好き…


☆ 返信 ☆

わぁ、わぁ、読み応え抜群のご感想をありがとうございます✨ヾ(´∀`*)ノ


> 以前に比べると精神面が少しだけ安定してきたのかなと


ジャイロの支え方が頼もしくなったのもあるようです。

第一章に頂いたご感想が正解で、ジャイロのご飯とか洗濯とか、全部、ユリシーズが面倒みているため、ジャイロにとっては大切で優しくて料理も美味しい、自慢の綺麗なお姉ちゃんです♪(*´∇`*)


> サイファ様お給金の内訳が借金の返済、母への仕送り、デゼルさんの為の貯金って欲が無さ過ぎませんか…?色々苦労なさっているからかもしれませんが、13歳…

> 自分の為に使っても良いんだよ。でもそういう所がサイファ様の良いところなのかもしれません。


さいふぁ様的には、全額、自分のために使っているそうです。

借金はもともとさいふぁ様が借りてしまったもので、

(病気のお母さんを助けようとして)

「僕のお母さん」を助けたいのは、そうできたら自分が嬉しいからで、

「僕のデゼル」にプレゼントして喜んでもらいたいのも、そうできたら自分が嬉しいからで、むしろ、小学生だからこそ、他の使い道を思いつかないみたいです。

クラスメイトの子供達だって、誰も、金貨なんて持っていないので。

(闇主は衣食住すべて、質の良いものを支給されるのもあって、子供がいないうちは、お金は全然かからなかったりします。)

さいふぁ様、デゼるんの闇主になってからは、クラスの友達とデゼるんも混ぜてふつうに遊んだりできるようになったこととか、すごく、嬉しかったみたいです。

明日まで生きていられるかわからなくて、生きるために「働かせて下さい」って頭を下げて回って、うまくできなくて殴られたり蹴られたりすることも珍しくなかった頃のように、まだ子供のうちから働かなくてよくなったことも。

毎日が安全で、楽しくて、可愛いデゼるんまでついてきて、気がついたら、欲しいものはすべて手に入っていて、とても幸せだって言ってました(*´▽`*)b


> 最後のマリアさんの気遣いが沁み渡ります。


マリアちゃんは地味にしっかりしたいい子ですよね。

ちょっと仕切りたがりのところがあるので、最初はマリアちゃんの言うことを聞かないデゼるんと衝突したりもしたけど、時間をかけて、デゼるんて言うことは聞かないけど、意外と邪魔しなくて協力的だとわかるようになって、なかよしになりました。

マリアちゃん、年少の子の世話を焼かずにはいられない性格なので、二歳年下のデゼるん相手には『いいお姉さん』であろうとしています。

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