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第77話 悪役令嬢は町人Sにも悪役令嬢Yにも叱られる

「……ゼル、……デゼル!」


 痛い……

 痛いの、ここは……


 うっすらと目を開けた私を、サイファの優しい腕が抱き締めてくれていた。


 サイファ……?


 そうか、私、サイファに殺されかけて、サイファがヒールしてくれたのかな。

 まだ、かなり痛みが残っていたけど、傷口は塞いでもらえてた。


「サイファ様」

「ごめん、こんな……!」

「私…は……大丈…夫……サイファ様、泣かないで……ヒール、あり…がとう……」


 京奈、災禍(エリス)って、宣言したよね?


戦術(アテナ)【Lv2】」


 サイファに抱いてもらったまま、私はその場でシステム画面を開いてステータスを確認したの。

 サイファはもう、大丈夫みたい。状態異常も怪我もなくて、よかった。

 私の方にまだ、状態異常『災禍』が残っていたから、解除しようと思ったの。


忘却(レーテー)


 レーテーを宣言しかけた私を、サイファが止めた。


「デゼル、それ、記憶を消す魔法だよね? 僕の記憶を消すつもりなの」

「え……」


 あ、そうか。

 そうね、そうしようかな。

 私を殺そうとしたことなんて、覚えていたらつらいよね。


「やめて、デゼル。それをされたら、僕はケイナを警戒できない。二度と、僕にこんな真似をさせないで」

「……」


 そう、ね。

 私も二度と、サイファを危険な目に遭わせたくないもの。

 忘れてしまったら、京奈との対決に私一人で行きたい時に、サイファが行かせてくれないかもしれない。


「わかった。でも、忘却(レーテー)【Lv9】は呪いの除去だから。私にも、災禍の呪いがかかっているの。忘却(レーテー)【Lv9】――ターゲット・デゼル」


 レーテーを宣言すると、優しい聖光が私を包んで、ふっと、それまで私を包んでいた、ビリビリする何かが立ち消えた。


「ケイナは、あの人は、本当に聖女なの?」

「あのね」


 どうして、気がつかなかったんだろう。

 京奈も私と同じ、神様のゲームのプレイヤーかもしれないことに。

 だって、同じ神様に、この世界に転生させてもらったのよ。

 私、失敗した。


「京奈は本当に聖女様だけど、エリス様の呪いを受けてた」


 サイファが息をのんで私を見た。

 サイファだって、エリス様を忘れるはずはないよね。

 あの日あの時、サイファが助けてくれなかったら、私はきっと、生きてない。


「今の京奈は、エリス様のあやつり人形なんだと思う……助けてあげなくちゃ……」


 軍神マルス様を最後にしたらいけなかった。

 私の他にも、神様のゲームのプレイヤーがいると思わなかったから、必要ないと思ってしまったの。

 レーテー様の忘却とマルス様の浄化を、両方とも【Lv10】にすると使えるようになる上位スキル『昇華』。

 他人が受けている祝福『災禍』を強制的に封印するスキル。


 私が軍神マルス様の祝福を授かるためには、先に、風神エンリル様の承認を得ないといけないの。

 だけど、エンリル様の祝福を授かってから、もう三年が経つのに、承認される気配もないの。承認条件は ≪Secret≫ で、わからない。

 アフロディーテ様の承認と違って、承認イベントがあるわけでもないようなの。


 カチャリと、透明で小さな音がした。


「ユリシーズ、この首飾りをしばらく、預かってもらいたいんだ」


 サイファが月齢の首飾りを外した音だった。


「駄目よ! サイファ様、どうして外すの!?」

「僕がこの首飾りをしていたら、デゼルが命を大切にしない」

「わかった、預かるわ」

「やめて!」


 強く、サイファが私の頬を叩いた。


「サイファ様……」

「どうして、そんなに必死なの。デゼル、やっぱり君は、僕を置き去りに死ぬつもりなんじゃないか!」

「サイファの言う通りね、デゼル。あなた、少しはサイファの身になって考えたらどうなの? ケイナの呪いを受けたのがあなたで、その手でサイファを刺し殺してしまったら、あなたはどんな気持ちになるのよ」

「……そ…れは……でも……!」

「あなたは甘いのよ、助けてあげなくちゃ? そんなことを言っている場合なの!?」

「え……」

「ケイナにいつ、ネプチューンを殺されるかわからない私がどんな思いをしていると思うの? 今、あなたがしている思いよ!」


 ユリシーズにも、サイファにも、何も言えなくて。


「デゼル、ケイナを助けようとしてもいい。だけど、デゼルの命を後回しにするのは許さない。デゼルの命も大切にしながら、助けてあげよう?」

「サイファ様……」


 サイファが優しく、私の額と唇にキスしてくれた。


「ごめんね、僕はいつも、デゼルを守れなくて」

「そんな!」

「エリス様の呪いを受けているんじゃ、ケイナもつらいだろうね」


 うん、うんと、私は何度もサイファにうなずいたの。

 ほんとの京奈は、あんな子じゃない。

 とっても、ふつうの子よ。

 つらいことがたくさんあっても、一生懸命に生きてた。

【次回予告】第112話 京奈 ~女神様は親切で美しい~

「どうかしら、ケイナ? あたしのスキルは優秀でしょう?」

 誰よりも美しい女神エリスが、裏攻略情報を読みあさる私に言ったわ。


↓ 物語だけ楽しみたい方はこちらから ↓

https://www.alphapolis.co.jp/novel/153000069/971438146/episode/4338271



★☆ ============ ☆★

 【ご感想】羽海様より

★☆ ============ ☆★


良かった…

京奈は素であんなにひどい子なわけではなかったのですね。

さすがの雪乃も、友達を恋のために排除しようとするような子だったら友達になれないか…?

サイファやユリシーズの気持ちは分かるけれど、首飾りがないとサイファがうっかり死んでしまいそうで怖いです…


☆ 返信 ☆

点目のじじ様によると、デゼるんの「ふつう」は信用ならないそうです。

京奈ちゃんがたとえ『友達を恋のために排除しようとするような子』であっても、それと気づかず「ふつう」と言い出すであろう的な意味で。


(・∀・)バレテーラ


デゼるんは賢そうに見えて、いろいろと抜けていますから…

さいふぁ様はもっと抜けていますから…(笑)


その抜け具合、ユリシーズがいつもヤキモキしながら見守っています。

というわけで、『京奈ちゃんがひどい子であっても、デゼるんはそれと気づかず友達になれてしまいます』でファイナルアンサー✨


Σ(=д=)


首飾りがないとサイファ様が死んじゃうのは、デゼるんが死んじゃった場合なので、あんまり、うっかりでもないような。

だけど、首飾りがないと、じゅ。がうっかり孤児になってしまいそうで怖いですね…

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