第72話 乙女ゲームの始まり
私はサイファを引っ張って、さらに後ろにさがった。
ネプチューンて、ゲームでは、こんなじゃなかった。
ファン投票でデゼルとトップ争いをするくらい、人気の高いキャラなのに。
光の十二使徒もそれぞれ魅力的なんだけど、光の十二使徒はたくさんいすぎて、票割れを起こしてしまうの。
ネプチューンはクールで傲慢だけど、心から、ユリアを愛している設定だったから、恋愛至上主義の乙女達には人気が高かった。
やっぱり、ゲームと同じにはいかないのかな。
ユリアが生きていた頃のネプチューンは、ゲームの印象に近かったのに、私が公国の滅亡や、闇の十二使徒の闇落ちを阻止した影響なのかな。
私がネプチューンを駄目にしたのかな。
「――ネプチューン様、あなたが拒否するデゼルに強いるつもりなら、これ以上、あなたにお仕えすることはできません」
サイファ……。
そうね、ネプチューンに仕えるのをやめることも、考えよう。
ハッピーエンドになるはずのシナリオを崩すことは、こわいけど。
シナリオの通りにしないと、ハッピーエンドにならないわけじゃ、ないはずだもの。
公国だって、今頃は存在していないはずだったけど、十七年、平和が続いてきたもの。
私はそっと、サイファだけに聞こえるようにささやいたの。
「ありがとう、サイファ様」
サイファがきゅっと、つないだ手を握り返してくれて、ほっとした。
私とサイファを冷たく一瞥したネプチューンが立ち去って、ほどなく。
とてつもない魔力が皇宮の地下神殿から放たれたと感じたの。
サイファも感じたみたいで、緊張した様子で私を見た。
キンコーン
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暗黒皇帝ネプチューンが聖サファイア共和国に対する侵攻を開始しました。
これより、『星空のロマンス』のゲームがスタートします。
闇巫女デゼルに運命の女神テュケーからの祝福が与えられました。
女神の祝福により、すべてのステータスが一段階上昇し、運命の輪【Lv1】が付与されました。
運命の輪【Lv1】により、闇巫女デゼルが起こすべきイベントを起こせます。
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どうして、ネプチューンは動いたの!?
京奈に会って何を思って、私を抱くなんて言い出して、あげく、ユリア復活のための物語を始めることにしたの!?
「サイファ様、ネプチューンが地下神殿で、禁断の魔術を使った。今、たくさんの人達が魔物に変えられてしまった」
「行こう」
燭台の灯だけが頼りの地下神殿に、山羊か何かを生贄に捧げた様子のネプチューンが佇んでいた。
「ネプチューン、どうしてこんなことを!」
「おまえこそ、どうしたデゼル。俺の副官などやめるんじゃなかったのか?」
私、ほんとにやめていいならやめたい、ネプチューンの副官なんて。
生贄は山羊とはいえ、血の海の中で妖艶に笑ってるネプチューンの気が知れないのよ。
「ああまで言われて、誰がおまえを信用するんだ。京奈がユリアなものか。信用しろと言うなら――」
邪悪に微笑んだネプチューンが、私に血塗られた手を差し伸べた。
「俺に身も心も任せるんだな」
【FanART】 あるふぁ様からの贈り物
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