転入2
2話ですね。はい。
先生が出ていくと次第に喧騒が広がる。
そんな中何があるのか分からず視線をさまよわせる僕。
ヤバい!浮いてるかも!
少し挙動不審な感じで周りを見渡す。
そこに湯川さんが、
「これから始業式だから早く行こう?」
そう声をかけてくれた。
僕はそれが嬉しくて、
「分かった、ありがとう」
微笑まずにはいられなかった。
「なんと言うか、上井君って無邪気だよね…」
急に湯川さんがそう言い出すので、僕は分からず首を傾げる。
「と、とにかく早く出ないと先生に怒られちゃうよ」
と言われたので僕は湯川さんの後ろに着いて行った。
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始業式。
僕は思い知らされた。
これ程までに退屈な事が学校には存在するのか…と。
ようやく始業式が終わり帰りのホームルームとなった。
帰りは滞りなく時間が過ぎていき、直ぐに放課後となる。
僕が帰りの準備をしていると、
「お疲れ様〜校長話長かったね〜」
と湯川さんがこちらにやって来た。
まだ友達が居ないのでこういう気遣いはありがたい。
「そうだね。こんなに長い話聞くのは祝詞くらいだよ」
そう言ってハッと気づく。
「のりと?それってなに?」
ヤバい!誤魔化さなくちゃ。
「え、え〜とノーリード!空気を読めない人も居たもんだね!ハハ」
我ながら何を言っているか分からない。
「フフ、変な言い回し。上井君って結構面白いね」
何とかごまかせたようだ。
そうこうしていると、男子生徒が近寄ってくる。
「湯川、何が面白いんだ?」
ニヤケ面でこちらの話に混ざってきた。
「おっと、悪いな。まずは自己紹介からか。
俺は新井大雅って言うんだ。宜しくな」
と、自己紹介をしてくれた。
それに嬉しくて、
「うん、宜しく!僕は上井智人!」
と勢い付けて言った。
「知ってるよ、さっき聞いてたんだから」
苦笑気味に答えてくれる新井君。
少し勢いが付きすぎたと反省。
「んで、転校生の上井。ん〜下の名前で呼んでいいか?」
フレンドリーに接してくれる新井君。
僕は迷わず頷いた。
「もちろんだよ」
「なんというか、智人は天然だな」
そう言われてしまった。僕は天然なんだろうか?
「そんじゃ、困ったことがあったら何でも頼ってくれよ。俺は何かお前のキャラが気に入ったみたいだからな」
僕は嬉しくて、
「僕も新井君のこと大雅って呼んでいい?」
と尋ねてしまった。
流石に早すぎたかな?と思うが、
「ああ、構わないぜ。って言うか普通にそれでいいよ」
なんと!大雅は心の広い人間である。そう心の中で呟いた。
「上井君、これから校舎の案内もしたいんだけど、今大丈夫?」
感激している僕に湯川さんが問いかける。
「おっ湯川!放課後デートか?」
ニヤケ面で湯川さんをからかう大雅。
「そんなんじゃないよ、学級委員の仕事です!」
強く言われてしまった。心の何処かが少しギズついた。
「で、上井君放課後大丈夫?」
と問われたので、
「うん、大丈夫。ありがとう」
微笑みで返す。
ん?どうしたんだろう?湯川さんが硬直している。
「おい、湯川。気をつけたほうがいいぞ。こいつ魔性の天然だ」
変なことを大雅が言ってきた。
「と、とにかく!じゃあ行こうか。割と広いから早めに案内しないとね!」
そう僕を待たずに、カバンを取って教室を出ていった。
僕はそれを慌てて追いかける。
「これは、湯川は脈アリか?」
そんな大雅の呟きは教室を出る僕には届くことは無かった。
フリック入力キツいですね