序章 その2
ここで気を取り戻してから4日が経った…。
その間、夜な夜なおかしな夢をみた。
…目の前に黒い羽根が落ちてきた。地に着いたとたんにあたりは一瞬にして、漆黒に染まった…。
気に障るほどではなかったが、気味が悪かった。
とは言え、この牢から見える様子で2つのことを知った。
1つはここのおおよその人数だ。番兵が5人、1人がここの見張り、2人が正面門に、もう2人が役人のわきに据えている。役人はおそらく3人だ。役人の姿は確認できていないが、番兵が呼ぶ「○○様」で3人だと見当がつく。
もう1つは、殺される日だ。3日後の正午に磔にされるらしい。昨日、番兵から飯の時に言われた、
「てめぇらに死なれると困るんだよ。関所抜けは磔にするようしつこく御達しがあったからなぁ。まあ、せいぜい生きててくれよ。4日後の正午まで。」
それから2日が経った。ここ裏手にある物置が騒がしい、処刑台の準備が始まったようだ。しかし、これは絶好の機会だ。おそらく処刑の準備に数人の番兵が駆り出されるだろう、またとない機会だ。しかも、夜中はもともとここの見張りの番兵だけ。ほかにいたとしても数人。牢から出られさえすれば何とかなる。
夕暮れ時、日が沈みあたりは一層闇に包まれた。
「(よし、やろう)」