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三人の精霊と俺の契約事情 【白銀の騎士編】  作者: 望月 まーゆ
始まりの書
12/26

霧の森(後編)

森の霧は晴れて明るい木漏れ日が差し込んでいる。先程までは恐ろしい感じの森も今は清々しくさえ思う。


ケイトは木の上で妖精を抱き寄せて涙を流しながら言った。


「ーー僕は、君たちを助けられなかった。

僕は弱く何も出来なかった。

あの場所にもう少し早くたどり着いていれば、後少し行動が早ければ君たちを救えたかもしれない」


ケイトは唇を噛み締めながら言う。


「・・・何で・・人間が・・嘘だ」


まだ呆然としたまま妖精は言った。


「人間何て・・・みんな同じだ。

私たちを仲間をみんな殺すんだ・・・何もかも、街も人も帰る場所さえ全て・・・」


エルフは抱き抱えられたままケイトの胸を殴る、何度も、何度も・・・


「ーー全ての人間がそうだと思わないでほしい。

今は信じられないかも知れないけどいつか君の心の闇を癒せるように。

僕に君の心を預けてほしい。今度こそ助けたいんだ。あの日、クリスタルパレスで君たちを助けられなかった恩返しがしたい。」


エルフと目と目を合わせて見つめ合う二人。


ーーああ、この人見たことがある。


クリスタルパレスが崩や寸前に一人の人間が駆けつけ攻め込んで来た人間たちを倒していた。

その人に似ているーー。


「人間はキライ。信じられない・・・」


ケイトから視線を外しながら言う。

ケイトは、少しはにかむ。


「ーーこんな僕でも助けられた命があるんだ。

僕の生きる意味、僕の全てをかけられるモノだよ」


そう言うと手を振り、


「おーい。エレナぁぁぁ」


エルフは、ケイトの手の先に視線を下ろした。


「ーー何ケイト、終わったの?」


ひょこっと馬車の荷台から綺麗な紫色の髪の毛をしたエレナが顔を出した。


エルフに驚きと感動が同時にきた。

顔を手で覆いしゃがみ込んで泣き出す。



ああ、神様。こんな日が来るなんて。


今までこの瞬間の為に生きてきたのだろう。

一人で耐えてきた時間。

いつか仲間に会えるかもと希望を抱いてきた時間。

遂に、その日々が稔った瞬間だった。



ケイトはエルフの頭を撫でながら笑顔を見せたーー。




* * * * * * * * * * * * *


「エレナ大丈夫だったか?怪我はないか?」


「別に大丈夫よ。あなたに心配されるまでもないわよ」


相変わらずつーんっと言い放す。

ケイトは苦笑いを浮かべる。


エレナはじーっと自分を見ている女性に気付いた。

しかも涙を浮かべて直視されているのだ。


ケイトの背後に回り込み、服を引っ張りながら問いただす。


「ーーケイト、あの人何なの?」


ケイトは頬を掻きながら少し困ったような表情をしながら、


「えっと・・・彼女は」


ケイトが説明しようとしている最中、エルフはエレナに泣きながら飛びつき抱きしめた。


エレナは驚き、戸惑っていた。

それもそのはず、見知らぬ女性に泣きながら抱きしめられたら誰でも戸惑う。


「エレナ様、良くご無事で・・・」


エレナは、えっ、えっ?と戸惑ってまだ現状を理解出来ず混乱している。


「エレナ様、お忘れですか?私です。

ナタリアです。生きてらして本当に感無量です」


そういうとまた泣き出すナタリア。


どうして良いか分からずケイトに助けてと視線を送るエレナ。


ケイトは、苦笑いを浮かべて二人を見守っていた。



エレナに説明する日が遂にきたのか。

出来れば何も知らず、ずっとそのままそっとしておいてあげたかった。

知らないでいる方が幸せだと思っていた。


ケイトは、エレナの胸で泣き崩れる。

ナタリアの肩にポンと手を置き、


「エレナには記憶がないんだ・・・」


ナタリアは驚いた表情しそして落胆の表情に変えた。


「ーーそんな・・・そんなことって」


そのまま崩れ落ちひざまづいた。


エレナは何のことだかさっぱり分からないといった表情をし、キョトンとしていた。


「とりあえず馬車に乗って、エレナにも大事な話をしなくちゃならない」


「ーー大事な話?」


ケイトは少し黙り込んで、馬に跨りながら静かに言った。


「エレナの記憶の話なんだ」


エレナは覚悟していたかの表情を見せた。

自分は何故忘れてしまったのだろう。

忘れてしまった理由は?

どこで生まれて、両親は?

エレナは、知りたいと大きいな青い目を輝かせた。



馬車は再び動き出した。

軋む車輪の音が守りに響き渡る。

サワサワと葉の音が心地よく感じる。


3人を乗せ馬車は森を突き進む。




ーー勇騎士称号授与式まで後、1日と5時間ーー

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