神様と昆虫学者との対話
「昆虫はえらいのう」
「神様、どうして、そう思うのですか?」
「通常の昆虫は1年を一生として、翌年、1から始めるのじゃからな」
「まあ。そうですけど」
「えらいじゃないか。君」
「でも、何億年もそうやってきたのですから、いまさら、変えるわけにはいかないでしょう。」
「この自然に身を任せ、季節の移ろいに身を任せ、自然に対する全幅の信頼は、他の生物にはみられないものだな」
「まあ、そうですけど」
「このカマキリを見よ。春には、赤ちゃんだったぞ。バッタをみよ。やはり、春には赤ちゃんだったぞ。その絶妙のタイミングの中で、生き残り、連綿と生命をつないできたのじゃ。この昆虫と地球のシステムは、われわれ神々が整備してきたもののなかでも、大成功のシステムの一つじゃな。」
「そうですね。四季のある世界では、卵、幼虫、成虫というシステムで、いいと思いますが、四季の変化のない熱帯で、カマキリはどのように生き残るのですか?」
「実は、そのことは、カマキリに相談されて、いろいろ考えたんだが、花に化ける擬態を提案してみたんだよ。四季があると、みんな小学一年生、二年生という感じだが、熱帯では赤ちゃんも、子供も大人もまぜこぜに同時に存在するので、自分の身を守り、狩りをするシステムが必要なのだ。そこで、擬態をいうシステムを提案したのだよ。」
「そうなんですか。昆虫は、神様にいろんな相談をするんですか?」
「そうだよ。未来は、だれにもわからないのに、生命は、未来を信じて繋いでいき、繁栄もする必要もある。しかし、繁栄しすぎてもいけない。絶滅しても行けない。それを未来に託すのだが、それを、卵という形に託すのだ。」
「それは、何億年もの歴史の中で、培われた昆虫達の知恵なのではないのですが。」
「昆虫達は、一年で、すべて死に絶えるのだよ。どうして、知恵の維持、伝承ができるのだろうか?」
「それは、卵の中の遺伝子で、伝えるのではないかと思うのですが。」
「昆虫は、卵に中に種の命を伝承しても、地球のシステムや昆虫のシステムや植物のシステムまで、伝えることはできないと思うが。」
「そうですね。小さな遺伝子に、地球のシステムのすべてを伝えることはできませんよね。」
「その昆虫たちのシステムを管理する神様がいるのだ。これは、すべてのことに言えるのだ。この世界は、3次元のみで、成り立っているのではない。高次の次元と、接合して存在しているのた。」