神様と恐竜の化石との対話
「おい、作者、わしを国立科学博物館に連れていってくれ」
「いいですけど。急にどうしたんですか?」
「急に人類数億年の歴史年表をつくることになったんだ。」
「それは、たいへんですね。それにしても、人類数億年ですか?」
「まあ、それも、地球にやってきた以降のみで、人類は、根源的な神様の分霊というべき存在なので、その歴史自体は、数百億年、数千億年の歴史があるぞ。」
「あれあれ、またまた、途方もない数字が出てきましたね。」
「仏教をみよ。もっと、もっと、途方もない数字をいっているではないか。あれが、宇宙の実相、根源的な神様の実相を表そうとした努力なのだよ。」
「神様は、ほら吹きではなく、仏教に比べれば、かなり控えめだということです。」
「控えめというわけではないが。」
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「はい、国立科学博物館につきましたよ。ここには、地球の歴史、45億年の年表がありますよ。」
「じゃ、まずは、それを参考にしてと。」
「え!それって、パクリですか。」
「パクリではない。参考だ、あくまで、参考だ。どうせ、大幅改定だ。」
「ところで、神様の説によれば、人類はいつ、地球にきたことになっているんですか?」
「そうだな。数億年というところだ。地球に花が誕生したころといっしょだ。」
「えーと、えーと、数億年ですか?」
「まだまだ、恐竜も元気に活躍している時代ですよ。」
「そうそう、恐竜もちゃんといたぞ。」
「そういえば、以前、人間が恐竜を捕まえるの、モンスターボールをつかっていたと、嘘をいいましたよね。」
「嘘、嘘、嘘とは、何事ですか? 本当にあったんです。」
「あの、声がうわづっていますし、スマホも震えていますよ。」
「それは、急にメールがきたので、わしの声が、震えて、スマホも震えただけだ。わしは、嘘はついておらん。」
「恐竜と人間が、同時に存在していたことは認めていいですけど、モンスターボールがあったのは、絶対、嘘だと思います。」
「嘘かどうか、この恐竜の化石に聞いてみようじゃないか?」
「え!、そんなことをすると、困るのは、神様ではありませんか」
「まあ、いいじゃないか。この恐竜の化石は、モンスターボールについては、しらないようだが。」
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「神様、こんにちは、お久しぶりです。」
「恐竜君、お久しぶり。こんなところで、君に会えるなんて、思わなかったぞ。」
「今から、3億2543万4765年前はお世話になりました。」
「もう、そんな昔になるかね。」
「あのときは、ティラノサウルスに襲われて、食べられてしまうところ、偶然にもたすけていただきありがとうございました。それ以来、お近くで、過ごさせていただき、たのしい恐竜人生を送らせていただきました。」
「まあ、お前ら、巨大な恐竜が手元にいると、巨大な神殿つくりには、クレーン替わりに手伝ってもらったので、お互いさまだった。お前の背中にのって、散歩するのも楽しかったぞ。」
「そうですね、あの時代は、シンプルでしたけど、非常にたのしいおおらかな時代でしたね。」
「じつは、この話の作者が、恐竜を捕まえるのに、モンスターボールが存在したといっているのに、信用しないので、お前から、存在したといってくれんかな?」
「いいですけど、そのモンスターボールというのは、なんなんですか」
「そうか、そこから説明しないといけないな。まず、スマホをポケモン GO に切り替えて、しばらくまつと、ポケモンが登場するので、それを捕まえる。エイ! とこのボールをなげるのじゃ。似ているじゃろ。わしが、ティラノサウルスやっつけた武器にそっくりだろ。」
「そっくりとは、いえないような気がしますが、たしか、丸いエネルギー体が、ティラノサウルスにぶつかり、ティラノサウルスが、大きく吹っ飛んだのは、覚えています。かなり、明るい光をだして、空気中を丸くなって飛んで行ったような気がします。赤と白だったか、さだかではありませんが。」
「そうだ。そうだ。あのときは、まぐれ当たりで、ティラノサウルスに大当たりしたんだ。」
「あなたが、私を村に連れ帰ったのを、みんな不思議がっていましたね。あいつの銃が、ティラノサウルスにあたるなんてありえない。奇跡だとか、きっと、天変地異がおきるにちがないないと、いって、村の長が調べに来たくらいでしたね。それで、いくら実験をしても、すべて、はずれで、命中したのは、偶然のまぐれだということになりましたね。」
「まあ、銃の使い方は、へたであった。ほとんど、命中したことはない。」
「もしかして、本当にティラノサウルスをねらったんですか?」
「もちろん、ねらったさ。」
「でも、目をつぶって、ねらっていましたね」
「そうか。わしは、良く覚えていないが。」
「わたしは、見ていましたけど」
「そうか。昔のことだ。ところで、この人に、モンスターボールがあったことを教えてくれ。」
「そこの人、人間が、むかし、恐竜をやっつける武器をもっていたのは、間違いない。エネルギー砲というべきもので、人間の精神エネルギーを集中して、空気を固まりのようにして、発射して、すごい衝撃波をだすもので、ティラノサウルスも一発で気絶した。ただし、この神様は、その銃の扱いかたが、村一番へただったけどね。」
「あの頃は楽しかったな。」
「そうですね。楽しかったですね。ここであえるとは思いませんでした。」
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「あのころの楽しい時代を、人類の年表に加えなければならないな。」
「神様、あの恐竜を飼っていたんですか。」
「まあ、たすけたついでにいっしょに生活していたんだ。いい恐竜だったんだぞ。」
「いいな。僕も恐竜がほしいな。」
「おまえには、たくさんのポケモンがいるじゃないか。それで、がまんせい。」
「じゃ、上野公園で、すこし捕まえて帰りますか。」




